京都「カフェ・ソワレ」

東郷青児を愛するアートカフェの雰囲気

京都四条河原町。

高瀬川沿いに細い路地を北に上がるとすぐに見えて来る小さなカフェのサインボード。

soireeとはフランス語で「夜の時間」の意味だ。

その名のとおり、店内は黄昏時のような青い照明に包まれてまさに大人の夜の時間の雰囲気である。

昭和23年創業というからもう70余年の老舗である。

東郷青児のコレクターだった先代オーナーの収集品が店内に美しく飾られている。

店内の青いいろどりももしかすると東郷青児のブルーをイメージしているのかもしれない。

京都カフェ巡り旅というものがあるとすれば、ここ「ソワレ」は必ずリストアップされる巡礼地だろう。

決して広くない店内は満席のにぎわいである。

しかし通された席に座ってみるとそのにぎわいがさほど感じられないことに気が付いた。

BGMが無いのだ。

耳をすまして聴こえるのは、客たちの抑え気味の話声と陶器の食器の触れ合う硬質の音だけ。

壁に架かる東郷青児の絵にゆっくりと視線を這わせてみる。

東郷の絵は大胆にデフォルメされ柔和な色彩で描かれた女性像の作品が特徴だ。

艶福家だった東郷らしい女性美の世界である。

砂糖抜きのココアの香ばしい味わいを楽しみながらの20分間は、その空想を楽しむのにちょうど良い長さだった。

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