中将姫誓願桜

岐阜県のシンデレラ物語

私は、毎日犬と一緒に散歩するとき、願成寺を通り過ぎます。その中を歩いたり、静けさを楽しんでいます。

願成寺は、木々に囲まれた、小さな美しいお寺です。そこには、一本の桜の木があります。このお寺には、昔からの言い伝えがあります。その話は、シンデレラ物語の様です。

奈良時代(710~794)、藤原鎌足の曾孫である中将姫は、義母からの命令で、山中に捨てられました。しかし、その迫害から願成寺に逃れて来ました。そこで、姫は、當麻寺の尼さんに救われ、後に尼になりました。

不幸にも、姫は、重病に罹ってしまいました。手を尽くすことが出来ず、願成寺の仏様の慈悲にすがり、観音様に救いを求め一心に祈っていました。

“願”の意味は、願いを叶えるため、神様に祈ること、“成”は、成功を収めることを意味しています。

その後、中将姫は、たちまち病から回復しました。そして、中将姫誓願桜と呼ばれる美しい桜の木を植えることで、神様に感謝を捧げました。

“誓”と言う字は、“誓うこと”を意味します。そして、中将姫は、生き仏と崇められるようになりました。

私は、このとても美しい年代のある木を見ていると、これが、中将姫からの贈り物であるように思われます。この桜の木は、非常に珍しい種類の山の木で、今までに発見されていない種類です。学術名を「プルヌス・フロリドラ・ミヨシ」と言い、1929年、昭和4年、国指定天然記念物に指定されました。

高さ約8.1メートル、幹の周囲は、約1.5メートルです。花は、薄い桜色で、花弁の数が20~30弁あります。

しかし、最も驚かされるのは、1200年もの歴史があり、今だに毎年咲き続けているということです。

この桜の木は、愛情、戦争など、日本の歴史を経験してきました。そして、今、宇宙までも傍観して来ました。

私の様に、岐阜に住んでいる人々は、2008年、私達の中将姫誓願桜の驚くべき事柄の目撃者になりました。

国際宇宙ステーション・日本実験科学棟「希望」は、248個の種を搭載し、発射しました。通常、この桜は、枝分けが困難で、接ぎ木をしていました。しかし、宇宙に行った2つの種が、芽を出しました。初め、科学者達は、雑種の発芽だと思いましたが、試験の結果、中将姫誓願桜が発芽したことが分かりました。

その木は、中将姫の全てを象徴しているかの様です。

その様に、私は、犬の散歩で、1200年の歴史のある木の側に立ち、見捨てられ、回復を遂げた中将姫の物語や、精神力、信仰、そして歴史についての話をしています。

尼になった中将姫から、岐阜の人々へのプレゼントが届きました。今、皆さんに、この話を共有したいと思います。

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