信仰の山で「天空芸者宴(ナイト)」

御岳山で芸者衆と食べ、飲み、遊ぶ一夜

Peter Sidell   によって

東京都心から西へ二時間前後で着く御岳山は、山岳信仰の聖地であると同時に、ハイキングや都会の喧騒を忘れるのにふさわしい場所でもある。そんな地域の観光促進のため、観光客に伝統的娯楽の一つであるお座敷遊びを体験させる「天空芸者宴(ナイト)」が催されている。

今回は残念ながら雨天で観客は庇の下で見る事になったが、まず野外舞台での舞踊でイベントは始まった。ベテランの二人の芸者が舞台奥で三味線を弾き唄い、その前で三人の若手芸者が踊るのである。五人ともすっきりした色合いにシンプルで上品な柄ゆきの着物姿。踊る三人は真紅の口紅が引き立つ古典的な白塗りの化粧で、高く結い上げた黒髪の鬘をつけている。

短めの舞踊がいくつか披露された。内容についての解説が全て日本語だったのでよくわからなかったが、見ていると中には物語風のものもあり、登場人物の感情を表す繊細な動きのあるもの、かたや気取りながらもコミカルなやり取りがある南瓜と茄子の踊りなども演じられた。目先の違った楽しい演目が続いたので、30分があっという間に過ぎていった。

次の会場は屋内で、趣のある旅館の宴会場に移動した。まず軽食と飲み物(日本酒、ワイン、ソフトドリンク等)が振る舞われ、芸者衆は客の間に入り接待をするのである。その中の何人かは英語を話し、また客の飲み物が空にならないよう絶えず気を使っている。こうした時間があった事で、彼女達の芸者としての生活、化粧の奥の素顔、どうしてこの世界に入ったか、どういう事にやりがいを感じるかなどをより知る事ができた。

お定まりのお座敷遊びは、じゃんけん遊びのバリエーションのようで、客と芸者が対戦するものだった。一番前で座っていたからか私と友人が指名され参加したものの、どうしても二人とも勝つことができなかった。(仕方ない、相手はプロだからと自分を納得させることにする。) この遊びは単純な歌を歌いながら素早く動き、じゃんけんで勝った方は床に置いた小さな太鼓を打ち、負けた方は素早くその場で一回りする(私の敗因はずる賢くごまかしたからだと思う)。これは参加しても見ていても楽しめた。

次の遊びは芝居がかったもので、まず二人の参加者は屏風で遮られる。そこで猟師、虎、おばあさんのどれになるかを決め役になりきってから、屏風から出てきて顔を合わせる。猟師は虎を撃ち、虎はおばあさんを食べ、おばあさんは猟師を小言を言いつつ引っ叩くというルールだ。普段はエレガントな芸者が、一転して滑稽な動きで肉食の獣を演じるのを見るのは、愉快で見事だった。

この催しは、年内はさらに4回(9月17日、10月14日、11月18日、12月9日)行われる。参加費用は無料だが、お座敷遊びは人数限定なので、事前予約した方が安心だ。
私としては、当日は現地に宿泊する事をお勧めしたい。帰りのケーブルカーに間に合うために急ぐ事もなく、さらにこの山の素晴らしい景色と雰囲気を十分に満喫できるからである。

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Chikako Takahashi

Chikako Takahashi @chikako.takahashi

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