レジャーアイランド・江の島

神話の世界からロマンチックなデートスポットまで

江戸時代からの観光名所である江の島は、今も毎日、大勢の人でにぎわっています。しかしかつて、四囲を岩礁に阻まれたこの島は、一部の修行者が参籠するほかは、一般の人々が気軽に立ち入ることのできる場所ではありませんでした。江戸時代後期になってようやく、江の島は参拝をかねた庶民の行楽地として、脚光を浴びるようになりました。そして今日では、湘南一の観光スポットとして世界中から人々が集まります。ではまず、そんな江の島に伝わる不思議な神話の世界をご紹介しましょう。

江の島の神話

昔々、五つの頭をもつ龍がこの辺りに住み着いて、周囲の村人たちに悪事を繰り返していました。山崩れや洪水を起こし、田畑を押し流したり火の雨を降らせたり、さらには幼い子どもを食べたりしていました。

552(欽明天皇13)年の4月12日、にわかに黒い雲が天を覆い、深い霧が立ちこめると、恐ろしい地震が起こりました。山は割け、高波が次々に村々を襲いました。地鳴りと揺れは10日間続き、それから沖で大爆発が起こりました。そのときにできた島が江の島です。

しばらくすると、この島に天から美しい姫が降りてきました。この様子を見ていた龍は、姫に一目惚れしてしまいます。早速、波をかき分けて島に行き、自信たっぷりに求婚しました。

「わしはこの辺りを治める五頭龍じゃ。姫をわしの妻に迎えよう。」

ところが姫はきっぱりと断りました。

「何を申す。おまえはこれまで村人を苦しめ、幼子らを喰らってきた。私はそのような者の妻にはならぬ!」

龍はすごすごと帰っていきましたが、翌日にはまた江の島にやってきて、これまでの悪事を悔い、心を入れかえて村人のために尽くすことを約束しました。姫は龍の固い誓いを信じ、静かにその手を差し伸べました。

それからの龍は、日照りのときには雨を呼び、台風が来れば体を張って作物を守り、高波には防波堤となって村を守りました。そうして歳月が流れるうちに、龍の体は次第に衰え、やがて命が尽きました。龍は江の島にいる姫を見守るように体を横たえ、山になったということです(龍の口にあたるのが龍口神社、体は片瀬山から深沢の辺りだとか)。

江の島観光のヒント

ここからは、半日で江の島巡りをする場合のヒントをまとめました。

1. 時間がない場合は、大船から湘南モノレールで終点まで、余裕があれば、鎌倉と藤沢を結ぶ江ノ電に乗って、「江ノ島」で下車します。「長谷」で途中下車して、鎌倉大仏と長谷観音にお参りするのもおススメです。

2. 江の島の一つ手前、「腰越」には漁港があります。人気の生シラスはここでいただくのが一番です。

3. 「江の島」駅からは人の波に沿って歩きます。商店街を抜け、橋を渡って約15分です。途中の景色もキレイなので、カメラの用意も忘れずに。江の島に入るとお土産物屋さんが軒を連ね、その先に鳥居が見えます。名物のたこせんべいのお店は向かって左手にあります。

4. ひたすら石段を上って行きます。エスカー(エスカレーターのようなもの)もあります。山頂には植物園と展望台のあるサムエルコッキング苑や、景色のいい恋人の丘があります。恋人の丘にある「龍恋の鐘」をならし、二人の名前を書いた南京錠を近くの金網にかけると、永遠の愛が叶うと言われています(!?)。南京錠は近くのお土産屋さんで売っています。

5. 次に西側の坂道を降りていきます。こちらは岩場になっていて、富士山と夕日の絶景ポイントです。進んでいくとやや広い岩場に出ます。1923(大正12)年の関東大震災で出現した「稚児ケ淵」です。ここは、釣りや磯遊びに最適なポイントですが、強風になると立ち入り禁止になるなど、荒波が立ち、風に煽られることもあるので注意して下さい。

6. さらに岩場を進んでいくと、「岩屋」という洞窟があります。長い年月かけて波に浸食されてできた二本の洞窟です。第一岩屋は152m、第二岩屋は56mあり、ちょっとしたミュージアムになっています。奈良時代の修験者・役小角や、平安時代の僧侶・空海や円仁などが、ここに籠って修行をしたと伝えられています。

7. 島内にはレストランが点在していますが、おススメは「富士見亭」。景色も料理も最高です。

*地図上の地名は「江の島」、江ノ電の駅名は「江ノ島」と記載されていますが、混在して使用されている場合も多々あります。

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