熱田神宮

神体は草薙剣

伊勢神宮に次ぐ格別に尊いお宮として篤い崇敬を集めている名古屋市熱田区にある熱田神宮は2000年の歴史を誇り、「草薙剣」とゆかりの深い神々で「五神さま」と呼ばれる相殿神を祀っている。三種の神器のひとつである草薙剣の話は英国史アーサー王伝説に登場する聖剣エクスカリバーにまつわる話とよく似ている。8世紀にまとめられた日本最古の歴史書「古事記」によると、須佐之男之神が八俣之遠呂智を退治したときにその尻尾から剣が出てきた。そして、その剣は天照大御神に献上された。後に、日本武尊が東国の国造たちの企みによって火に囲まれた際、草を薙いで火を鎮めて何を逃れたときに使った剣が俗に呼ばれている草薙剣だ。

熱田神宮は皇位継承のみしるしであるこの剣を祀っている。このような宝とも言える剣を貯蔵しているにも関わらず、熱田神宮ではその剣の公開はしておらず、その徹底ぶりはNHK のTV取材にも応じないほどだ。最後に剣を公の場で確認できたのは、平成元年(1989年)、現在の天皇陛下の皇位継承の儀のときであったが、そのときでさえ、剣の刃は布に包まれていた。

第二次世界大戦時、熱田神宮は戦災をうけて社殿の大部分が焼失したが、後に再建された。その宝物館には4,000点以上の資料が収蔵されており、なかでも国宝・重要文化財などに指定されたものは176点にものぼる。展示されている収蔵品は、装束類、古文書、舞楽面、和鏡、調度品、刀剣をはじめとする歴史的に貴重な資料が多く、毎月選りすぐりの宝物を入れ替えて展示している。

熱田神宮には毎年900万人もの人々が訪れ、特に年始は初詣の参拝者で賑わっている。また、年間を通して70以上もの祭典・特殊神事が今に伝えられている。熱田神宮の主な祭典・特殊神事には次のようなものがある。

  • 初えびす(1月5日):商売繁盛を祈願する。
  • 世様神事(1月7日):年の初めに宝物館東側にある斎甕(いみがめ)の封を解き、その年の豊凶を占う。
  • 踏歌神事(1月11日):平安時代の宮中行事(踏歌節会)の流れを汲むといわれており、大地を踏み除厄と招福を祈る 。 
  • 歩射神事(1月15日):奉射の儀(矢を木製の的に射る)が執り行われる。
  • 舞楽神事(5月1日):平安時代より伝わる神事で、神楽殿前庭に高舞台を設けて舞楽を奉奏する。
  • 酔笑人神事(5月4日):御神体の草薙神剣が当神宮に還った故事を今に伝える。
  • 神輿渡御神事(5月5日):皇居を護り鎮める祭典で、神輿を中心に行列を整えて鎮皇門跡(現在の西門)へと進む。
  • 例祭(6月5日):たくさんの神輿が神宮へと向かい、夕刻から各門で365にも及ぶ献灯まきわらを奉飾点灯する。また、柔道、剣道、弓道なども神事として行われる。

熱田神宮は名古屋という大都会にある20万㎡にもおよぶ緑のオアシスでもある。神苑の樹木、池、その他小さな神社はもちろんのことだが、織田信長が永禄3年(1560年)桶狭間の戦いで出陣必勝祈願のお礼として奉納した7.4mの築地塀「信長塀」も忘れてはならない。

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