たばこと塩の博物館・渋谷

知られざる興味深い歴史と文化

何か特別な展示を見たい、だけど大規模な博物館で歩き疲れるのは避けたい、そう思った時に最適なのが渋谷駅のほど近くにある「たばこと塩の博物館」。街でショッピングをするついでに、また代々木公園の散策も兼ねて立ち寄ってみるのもよい。入館料は自動販売機のお茶より安い100円。6時まで開館している。

元々僕は来館する予定ではなかった。建物の前を偶然通りかかった際、おそらく東京ではあまり見かけることはないであろう長パイプをくわえて立っているネイティブアメリカンの肖像に目を引かれ、足が向いたのだ。禁煙に成功したものの以前は僕自身も喫煙者で、その名残りからかたばこに対する美学みたいなものを今でも抱いている。

喫煙文化に対して日本は未だに「社会的不名誉」とは成り得ていない、発展国の中でも少数派の国だ。ここではたばこ一箱が500円ほど。バーやレストランでも喫煙出来る場所は数多くあり、世界的にみても日本の喫煙者率は非常に高い。しかし、こうした事実も400年以上に渡る日本のたばこにまつわる歴史や文化を知ることで、そんなに驚くことではないと気付く。非常に興味のそそられるその歴史や文化をこの博物館で探索することができる。

展示物は、"喫煙者"や"何においても塩味派"だけが楽しめるというものではない。1階では、たばこがヨーロッパに渡り、その後世界に広まった頃のたばこの葉の育ち方や製品化される過程が紹介されている。2階では、日本でのたばこの歴史の発展を民族学的に説明している。希少価値のあるキセルのコレクションを見ることができ、キセルはなぜ不思議な形をしているかなどを知ることもできる。喫煙者がモデルとなっている浮世絵の描写が、禁止令が出されていたにも関わらずにたばこを世に普及させたという。江戸時代のたばこ屋を再現した等身大の模型からは、300年前の当時にたばこがどのように製造販売されていたかがよく伺える。明治と大正時代のたばこパッケージデザインを展示したギャラリーは、喫煙者やコレクターにとっては興味をそそられるエリアの一つに違いない。

「塩」の展示に関しては、若干見応えに劣るが、それでも見る価値はある。特に塩産業については詳しく述べられているので、日本語を読める者にとってはおもしろいに違いない。テーマは少し退屈ではあるのだけれど、ポーランドの塩秘密取引のあった大聖堂について知れたり、1トンもある巨大な塩の塊を目の前で見ることができたり、また、伝統的な日本の塩は海藻から作られてたという事実に触れたり、新しい知識に出会えるはず。

4階は特別展示場になっている。来館の際はより理解を深めるためにも1階~3階を見終わった後に4階に足を運ぶことをおすすめする。僕が行った時は、あまり世間では知られていない日本や中国やヨーロッパの嗅ぎたばこ文化がテーマであった。

館内を一通り見終わったら、ミュージアムショップをぜひチェックしてみてほしい。ご存知の通り、たいていの日本の博物館がそうであるように、ここでもテーマに添うお土産にたくさん出会える。うれしいおまけとして、1階エントランスに併設しているカフェ「セボン・プラージュ」では、おいしいクレープやガレット、シードルもいただけるのでぜひ試してほしい。

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