伝統的な日本画の技法そして画材を駆使し装飾的に動植物を描きあげる画家、くぼ田木蓮の新宿初個展です。
開催期間:2019年10月3日~10月7日(10:00~18:00)
一見、柔道選手のようなくぼ田木蓮ですが、花々を育てながら作品制作しています。本個展のタイトル『漢華(をとこばな)』は男性的でありながら華やかな作品を描く、この画家のイメージから来ております。彼の花への愛情と造詣の深さから生まれてくる作品は新たな息吹を感じさせます。独特の意匠感覚で表現した日本画約30点を、本展覧会でお楽しみください。
小説家、谷崎潤一郎(1886年-1965年)は著書『陰翳礼讃(In Praise of Shadows)』の中で、まだ日本に電灯がなかった時代に、陰翳の中で活きる美と美意識がつくられたと言いました。我々は1日の半分を夜の陰翳の中で生きており、さらに目を閉じている時間も陰翳の中で生きています。月明かりや町明かりは暗い部屋に届くと、金襖(金でコーティングされたドア)や金屏風(部屋の中で簡易的に使用する間仕切りや目隠しの役割を果たすもの)に柔らかく照り返り、夕暮れもしくは明け方のような妖しげな輝きを見せます。
くぼ田木蓮が描く金箔の絵画もまた、陰翳の中で浮かび上がり、日本の伝統的な美意識を受け継ぎながら、花々の美しさを表現しています。
一般的に展覧会場となるギャラリーは、一般家庭の電灯よりも明るい光源を使用しています。ぜひ海外の方々にも、くぼ田木蓮の日本画の作品をご自宅で飾っていただきたいです。日が照り陰る1日24時間の時の中で、くぼ田木蓮が描く花とともに、時の移ろいや季節の移ろいを感じる暮らしの味わいを感じていただけると幸いです。