ULTRA JAPAN 2016

ダンスミュージックファンを熱狂させる「ULTRA JAPAN」

1998年、アメリカのマイアミで始まった世界最大のダンス・ミュージックの祭典『UMF(Ultra Music Festival)』。その日本版として、2014年に誕生した『ULTRA JAPAN』が、2016年9月17日、18日、19日の3日間、お台場で開催されました。開催中は、台風の影響もあるなかで、延べ約12万人を動員するという盛況ぶり。1996年に開催された、日本初の大規模野外ダンスフェス『Rainbow2000』の動員数が約1万8000人(それでも当時は革命的!)ということなので、それを考えると日本のフェスカルチャーも大きく発展しているようで感慨深いものがあります。

会場は、豪華なセットのオープンエア型の『MAIN STAGE』、巨大テント型の『RESISTANCE』、芝生エリアのオープンエア型の『ULTRA PARK STAGE』の3つ。まず、『MAIN STAGE』にて、『burn WORLD DJ CONTEST 2013 Japan』優勝者でもあるYAMATOによるDJパフォーマンスで幕開けとなった。この『MAIN STAGE』のヘッドライナーは、トロピカルハウス・シーンで最大のキーマンとされる「Kygo」、EDM新世紀の開拓者としての呼び名も高い「DJ SNAKE」、頭にネズミの被り物をしてプレイする大御所DJ「Deadmau5」、EDMの次代を担うスウェーデン出身のDJデュオ「Galantis」、アグレッシブなワブルベース系EDMでおなじみの「Knife Party」、『世界のトップDJ100』において2年連続No.1に輝いた「Hardwell」、デビュー・アルバムで一躍UKダブステップ・シーンのビッグネームとなった「NERO」、オランダが生んだ20歳の若き天才EDMアーティスト「Martin Garrix」、EDMブームを生み出した世界No.1DJの呼び名も高い「Tiësto」など、連日、錚々たる顔ぶれ。大量のLEDパネルには、花火、火柱、紙吹雪などが映し出され、出演者に負けないハイクオリティな演出にテンションあがりっぱなしです。

『RESISTANCE』では、アグレッシブでありながら繊細な独自の選曲スタイルで絶大な支持を得ている兵庫県出身の女流DJ「ALYN」、日本屈指のハウス・プロデューサー「DJ OGAWA」、関西で最も勢いのあ女流DJ「YOTTU」、華やかなジャーマン・テクノの息吹を伝える「Frank Heinrich」、ロンドンで活動するナイジェリア出身の女流DJ「Nicole Moudaber」、オリエンタルで理知的なサウンドに定評のある東洋のテクノ・ゴッド「Ken Ishii」など、ダンス・カルチャー史を担ってきたアンダーグランドなハウスやテクノのスターDJたちが集結した、コアなダンス・ミュージックが楽しめるステージでした。

『ULTRA PARK STAGE』は、会場エントランスのすぐ前に広がる芝生エリアにあり、DJブース前で踊る人もいれば、芝生で寝転がっている人もいて、ピクニック気分でゆったりとダンス・ミュージックを楽しんでいる印象でした。2000年代からのアンダーグラウンド・シーンの体験からキャリアをスタートしたブライテストホープ「MONKEY TIMERS」、音楽誌『Night Out』編集長でもあるハウスミュージック系異色DJ「Naoki Serizawa」など、新しい息吹を感じる日本人プレーヤーとの出会いがたくさんありました。

日本におけるダンスフェスの歴史を振り返ると、プレーヤーの音楽性の進化ばかりでなく、観客のダンス・ミュージックフェスの楽しみ方のレベルも上がったように感じました。とくに、フェスファッションのセンスがどんどん向上しているようです。

ハンモックなどでゆったりくつろげるVIP専用エリア『ULTRA LOUNGE』、おしゃれな衣装でパフォーマンスをしながらゴミを拾う『クリーン・スイーパー』、世界初の『女性専用エリア』など、随所にホスピタリティを感じさせる主催者側のアイデアも好感がもてました。

各ステージで、国内外の総勢72組のアーティストが集結したこのイベントは、日本において、間違いなくダンスミュージックのムーブメントを牽引する大きなパワーになったと感じます。

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