文化 東寺を歩く Shozo Fujii 私がその前に立ったのはわずか10数分だけだったけれども、私には一生涯の贖罪と魂の浄化を戴いたような長いながい時間に感じられた。 いつしか日はかげり、薄暮の影が見る見るうちにその濃さをましてゆく。 ねぐらを目指して飛び立つからすの鋭い声が冷たい空気を裂いた。