仙台大観音

丘の上の守護神

仙台にいた3ヶ月間に、僕はたくさんの見所を訪れて、たくさんのすばらしい体験をしようとしていた。ただ、どこへ行っても何か不思議な感覚に捕われた。市内のあちこちを探索していると、常に誰かに見張られているように感じたのだ。郊外にある僕の職場の学校の最上階でも、晴れた日に訪れた市内中心部の総合施設ビル「アエル(AER)」の最上階でも、遠方からゴジラと同じサイズの白いフィギアがこちらを見ている。その正体は「仙台大観音」。大観音とは、仏教において最も広く信仰される菩薩の代表格のこと。それはとてつもなく巨大で、高さ100メートル(330フィート)もある。ゴルフコースの横の丘の上に鎮座し、仙台市内を見渡している。近隣のホテル滞在者の居心地にも影響を及ぼしていると聞いた。特に、見晴らしの良いホテルの上階でカップルがロマンチックな雰囲気になっている時に…

本題に戻るとしよう。仙台大観音は世界で6番目に高い立像にも関わらず、日本の中心部の話題や歴史的名所の仲間には入らないためか、観光ガイドには載っていないことが多い。けれど、「モダンで驚異的な大きさの像」というだけでも、わざわざ足を運んで見に行く価値がある。なんと信じられないことに、東京から日帰りで行ける距離に、これよりも大きな立像があるらしいが、僕はまだそこには行ったことがないので、ここでは仙台大観音の魅力を皆にお伝えすることにする。

仙台駅からバスか車に乗って30分で仙台大観音に到着する。近づくにつれ、その巨大さに思わずかしこまってしまう。更に近づくと、観音様が何かを手に持っていることに気づく。右手の宝珠は人々の願いをかなえ、左手の水瓶は知恵の水をたくわえて人々に注ぎ、知恵を授けてくれるという。足下に開かれた龍の口を通って、観音様の中に入っていく。

決して高くない500円の入場料を支払うと、あとは探索し放題だ。中に入ってまず初めに感じたのは、空気がひんやりとしていること。特に夏に訪れることをお勧めする。外が暑かったせいもあり、中の空気を堪能しながら僕はゆったりと内部全てを見てまわった。さっきまではロボットみたいな巨大で斬新なその外観にばかり気を取られていたけれど、中に入ると、ここは崇拝し熟考する場所なのだと気づかされる。日本の観音像は、たいていが女性だ。1階(層)部分には、33種類の違った形をした三十三観音が、その反対側には十二神将が安置されている。参拝の際には小銭をたくさん持参することも考えた方がいい。それぞれの仏像の前には賽銭箱が設置されている。とはいえ、要求されることはない。

1階部分を見たあとは上へ向かう。巡礼者のごとく12階まで階段で昇る人たちもいるが、多くの人は、僕のようにエレベーターを使う。最上階でエレベーターを降り心殿を通り抜けると、寺の中で最もすばしい展望スポットに到着する。仙台市内の高層ビルの上階から町の眺めを展望することもできるが、山々から町全体までを一望できるこの大観音からの眺めは、仙台の中でも大変珍しい。空気の澄んだ晴れた日には、太平洋も見渡せるそうだ。大観音のちょうど正面とその後ろ、またその間にいくつかの窓が設置されていて、とても美しい眺めを見ることができる。

エレベーターでここまでやってきたとしても、階下にはエレベーターで戻らないように。階段で下りて行くと、108体の仏像を見ることができる。それぞれの仏像は108つの煩悩を象徴している。嫉妬や傲慢、貪欲という言葉に心当たりはありませんか?様々な邪念の一つ一つを象徴する仏像が108体。自分に当てはまるものを見つけて、お礼を賽銭箱か仏像に直接捧げ、祈ってみよう。もしかしたら、自分に潜むネガティブな邪念が消えていくかもしれない。何かの動物を2つ合わせたような仏像もあれば、瀧の下に横たわっているものや、蓮の花の上に鎮座しているものまで、全ての仏像はそれぞれ違い、またそれぞれがすばらしい芸術品となっている。他の階にもいくつかの仏像があり、それらを見ながら1階の入口へと戻る。お守りや記念のお土産等も販売している。

宗教的観点からみても、人間の培った技術面からも、仙台を見渡すように堂々と存在する仙台大観音は必見といえる。仙台を訪れる際は、旅の行程にぜひ組み込んでほしい。

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