徳島中央公園

「動く木」が茂る緑一杯の広い公園を散策しよう!

5月のゴールデンウィークに徳島を訪れた初日、居酒屋で古い友人と再会した。徳島城跡と中央公園に行き、写真を撮りながら3時間もうろうろしたと告げると、たまげた彼女はこう言った、「徳島城? 3時間? なんでまた??!」・・・彼女のリアクション、私にも理解できる。彼女は地元の人間で、地元の人々にとって徳島城はあまりにも身近すぎ、そんなところで好き好んで何時間も過ごす人などいないのだ。私とてそうだった、この日再び訪れるまでは・・・

子供の頃、徳島城跡には度々行った。というより、無理矢理行かされた、と言った方が良いかもしれない。なぜならここは学校の遠足先でもあり、美術の授業で再々写生に連れて来られる場所だからだ。加えて私は個人的な隠れ家としても利用していた。城跡内にはかつて県立図書館があり、授業が面白くないと、学校に行くふりをして一旦家を出、途中大きくUターンして図書館に向かう。そして一日の授業が終わるまで読書に耽るのだ。しかし誰も私が授業をサボッているとは思わない。なんといっても本を読んでいるのだから、なんて勤勉な学生だろう、と思われていたに違いない! とにかくこうした事情で、私にとって徳島城跡と中央公園は、馴染み深い場所でこそあれ、取り立てて感動するようなところではなかった。徳島城跡の一部が「中央公園」と呼ばれていることすら、この日訪ねるまで全く知らなかったのだ! そしてこの地を再訪した私は、自分の過去の印象が全く間違っていたことを悟る・・・

まず、公園内は隅々まで美しく整備され、チリ一つ落ちていない。加えて今まで全く知らなかった物が多く存在することを発見した。菖蒲園、バラ園、弁天池、貝塚、原生林、山上の天守閣跡、数々の銅像、なんと蒸気機関車まで展示してある。休憩用のベンチはあちこちに配置され、気が向けば原生林を抜けて山頂までハイキングも出来る。町の中心部に原生林があるのだ?! 特筆すべきは公園内の樹木だ。まるで生きているかのような木々達が、今にもこちら目がけて襲いかかってきそうなのだ。そして城の石垣のカラフルな色も印象的だ。青っぽい石もあればピンクの石もあり、明るい色ではないが、とにかく色とりどりで、こんな石垣、今まで見たことがない。また、野鳥が多く生息しており、彼らの囀る声のあまりの大きさに、時には恐ろしくすら感じたものだ。

「日本の城跡はあちこち見たけど、徳島の城跡、今まで見た中でトップ5には入るよ!」。感激のあまり延々と喋りまくる私の話を、友人は黙って聞いていた。その後友人は、私が話した内容をそっくりそのまま家族に伝えたそうだ。すると家族達、声を揃えて「なんで??!」と絶句したらしい・・・ふむ、灯台下暗しとは、良く言ったものだ。私だってそうだった。彼等も私のように一介の観光客に成りきれば、私の感動を分かってくれるだろう。そして誇らしく思うに違いない!

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