どの季節に訪れても素晴らしい三溪園だが、特にお花見シーズンにはその魅力が倍増する。
三溪園は、まず足を踏み入れる前から桜の魔術であなたを虜にしてしまう。桜道と呼ばれる三溪園へと続く通りは桜並木になっており、この道を歩くとまるで桜のトンネルを通り抜けているかのようだ。この道沿いの住人達は本当に幸運だ!
三溪園には池と3つの仏塔があり、それだけでも必見に値する。かつて原家の自邸だったこの庭園は1906年に一般公開された。歴史的価値の高い17邸の日本家屋が、175,000平米の広大な敷地内に巧みに配置されている。これら建物を眺めるだけでも十分うっとりするのに、そこに桜が加わるのだから堪らない。
ここには300本以上の桜の木がある。庭園内に移築された古寂びて美しい日本家屋の姿と共にこの桜を眺めると、数百年前の日本はかくあったろう、と思わせる光景が現出する。日本人は驚くべき手法で生活に自然を取り入れることに長けているが、この庭園はその良い実例だ。
午後早めに来るのがお薦めだ。ピクニック用のランチを持っているなら、池の傍にある桜の木の下に場所を確保し、のんびり食事を楽しもう。昼食後には庭園内の散策だ。人生に一度あるかないかのチャンスかもしれない、カメラは必携だ! 桜の木の種類の違いにも着目しよう。明るいピンク色の桜もあれば殆ど白に近い淡色の桜もある。繊細な姿の、しだれ柳に似たものまである。全てが実に美しい!
散策に疲れたら三溪記念館で一休みしよう。ここでは伝統的な日本抹茶が楽しめる。池近くの三溪園茶寮では桜アイスクリームを売っていて、これがものすごく美味しい!
これだけゆったりすると、逆にゆったり疲れしてしまうかもしれないが帰るのはまだ早い、素晴らしいボーナスがあなたを待っている。夜間の「ライトアップ」だ。午後6時30分から始まるこのライトアップ、庭園内にスポットライトが灯され、全くの別世界が誕生する。桜の木とピンク色の花びらが神秘的な美を創り出し、日中の太陽の光に照らされた桜とは全く違った美しさを堪能できる。写真を撮りつつ座れる場所を探そう。つまみを食べながら酒を味わい、静かで瞑想的な時間を楽しもう。これはもう天国だ!
週末の三溪園はかなり混むので平日訪問がベストだが、それでもあなたのように興奮しつつ、この素晴らしい庭園を堪能して幸せに浸っている人達に沢山出会うだろう。桜は毎年咲くというのに、日本人は全く飽きることなく来る年も来る年も桜を愛で続けている。日本に30年以上住んでいる私も例外ではない。私にとっても、この桜の季節は1年のハイライトだ。
三溪園は年間を通じて美しい姿を見せる。桜を見逃しても残念がることはない、他の季節に行ってみよう。5月のゴールデンウィーク中がお薦めだ。庭園は新緑の緑色に染まり、新鮮でとても美しい。日本家屋も一部公開されている。7月8月にはハスの花が満開になり、秋には色とりどりに変化する日本の楓が実に綺麗だ。