「まえばし発酵巡りの旅」に行ってみたら発酵食品の歴史が見えてきた!

「名水」と「繭」が育んだ前橋ってどんな所?

みなさんは群馬県・前橋と耳にしたらどんな街を想像するでしょうか。筆者はお恥ずかしながら、前橋市の名を耳にした時まず始めに想像したのは“暑い!”でした。(いやいや、それは埼玉県の熊谷市...(笑))それほど前橋に対して知識のない私ですが、今回はひょんなことから人生で初めてとなる前橋に行ってきました!

訪れた理由は“発酵”をテーマにした「まえばし発酵巡りの旅」という前橋観光コンベンション協会が企画するツアーに参加するためです。この記事を読まれている読者の皆さまの中には「わざわざ発酵を見に前橋まで...東京にも発酵見学できるところはあるでしょう?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、前橋は日本でも有数の「発酵の街」と呼ばれているのです。私たちの生活を支える“納豆”や“味噌”をはじめ、世界でもお馴染みとなった“日本酒”も発酵食品であり、“発酵”を学ぶことは日本の歴史を学ぶことだと言えるでしょう。これを機に“発酵”に限らず少しばかり、自分の身近にある物を調べてみよう! と思ったわけです。

■高崎駅・前橋駅

早朝、東京駅から「JR新幹線たにがわ85号・ガーラ湯沢行」に乗ること約50分。筆者が最初に降りたのはJR「高崎駅」。ツアーは高崎駅と前橋でツアー参加者をピックアップしてからスタートしました。

■県民のソウルフード!元祖焼きまんじゅう「原嶋屋総本家」

ツアーの最初に訪れたのは創業162年を迎える群馬県民のソウルフード「焼きまんじゅう」を提供している「原嶋屋総本家」です。こちらの焼きまんじゅうですが、見た目の通りデカい!今は1本の串に4個ですが、昔の人たちは6個食べていたんだとか...

ソウルフード!
ソウルフード!

焼きまんじゅうの特徴は何と言っても食感です。小麦粉を麹で発酵させているため餅のイメージにある“もちっ”とした食感ではなく“ふんわり”としていて和風パンのような印象でした。

焼きます
焼きます

■繭の街で“絹糸づくり”に挑戦。「臨江閣(りんこうかく)」

2つ目のスポットは1884年(明治17年)に迎賓館として建設された近代和風木造建築の臨江閣で、ここでは“絹糸づくり”に挑戦しました。絹糸と言えば、小学生の時に観察日記を付けながら飼っていた蚕の繭を思い出しますが、その繭から作られる糸が絹糸なのです。群馬県は世界遺産に登録された“富岡製糸場”があることからも伺えるように、絹糸産業で栄えた県です。前橋も絹糸産業に恩恵を受けた街の一つです。タイトルにもあるように、絹糸製造の繁栄には“水”が大きく関わっているんだとか。

臨江閣
臨江閣

絹糸体験の講師によると、日本の百名山のひとつに数えられる「赤城山」を有する前橋市は、水はけは良いものの水利に乏しい土地で、昭和初期の大規模灌漑計画によって豊かな大地へと変わったそうです。自然に恵まれた緑豊かな「水のまち・前橋」は、赤城山の火山灰土による水はけの良い土地が桑の栽培に適していたことから絹糸作りが盛んになったんだとか。

実際の体験では、目に見えないほどの細い線をいくつも重ねていき、一本の太い線作りを体験しました。この糸が重なって服ができるなんてすごい...

昔ながらの製法を体験
昔ながらの製法を体験

■名水に育まれた豚を食す。「とんとん広場」

前橋の歴史に触れたところで、次はお待ちかねのお昼ご飯。今回お邪魔したのは前橋でも屈指の人気スポット「とんとん広場」です。ここでは生ハムの熟成庫の見学後、実際に「福豚」と呼ばれるブランド豚をしゃぶしゃぶで頂きました。生ハム庫では血抜き等の行程を説明していただき、ハム熟成中の倉庫を見学。長いものでは3年も熟成させるんだとか。

チーズを熟成させます
チーズを熟成させます

次にしゃぶしゃぶですが、こちらでは「だし」を使わず水を代わりに使っていて、豚肉本来のクセのない、さっぱりした味を堪能しました。※お鍋の写真を撮り忘れてしまったことはご愛敬....

福豚さまのツヤ
福豚さまのツヤ

■オープン日にはフレッシュなチーズを。夫婦で営む小さなチーズ工房「スリーブラウン」

ツアーの半分を終えたところで、次に向かった先は小さな酪農牧場でした。その横に「チーズ工房 スリーブラウン」があります。「牛を飼ってチーズを作りたい!」という気持ちからスタートしたこちらの工房は、生産から加工までを一貫して、ひとつひとつ丁寧に行っているため、お店がオープンしているのは、毎週水曜日・日曜日と月末の土曜日だけです。

チーズ工房 スリーブラウン
チーズ工房 スリーブラウン

今回は乳清という牛の乳から乳脂肪分を抜いたものから作った6種類のチーズを試食させてもらいました。某乳製品メーカーのさけるチーズしか食べてこなかった筆者には驚きの味・・・!舌触り、のど通り、食べた後の風味が今まで食べたことのない味で構成されていて、新世界に飛び込んだような錯覚に陥りました。またお邪魔しよう!

チーズプレート
チーズプレート

■柳澤酒造

ツアー最後のスポットとしてやって来たのは、「もち米」を使用して作った日本酒“桂川”などの日本酒を開発・販売している柳澤酒造さんの酒蔵見学でした。元々日本酒が好きなことに加えて、先日NHKの「プロフェッショナル~仕事の流儀~」で秋田の酒蔵特集を見ていた筆者のモチベーションは最高潮に達していました。

酒蔵ツアーでは、代表の高橋氏から精米したお米や麹菌を塗したお米を見せてもらった後、醪(もろみ)仕込みという発酵過程を実際に見せてもらいました(お米が息をしているようだった...)。

醪仕込み
醪仕込み
酒蔵
酒蔵

そして最後に複数種類の日本酒を飲み比べました。どれも個性があって日本酒の奥深さを感じました。高橋氏によると、日本酒造りで大切なのは何といってもやはり“水”の鮮度らしい。何事も基本が一番ということだと勝手に自分で納得してしまいました。

桂川
桂川

知識とお酒を頭とお腹にいっぱい詰め込めるツアーに参加してみて、日本のことすらまだまだ知らないことばかりだと再認識しました。同時に自分がまだまだ知らないことにワクワクできる少年ハートを持っていることも再認識。

皆さんも一度「発酵・水・繭の街」前橋に赴いてみてはいかがでしょうか。

行き方

■東京駅→JR高崎駅:JR上越・北陸新幹線(約50分)

■上野駅→JR高崎駅:JR高崎線・上野東京ライン(約2時間)

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