三都ツアー: 桐生と高崎と渋川

群馬県の秘宝

東京より北西方向の山中に、広大な自然美に恵まれ歴史的にも驚くほど重要なのに、普段はほとんど顧みられない地域がある。桐生と高崎と渋川は首都から2時間以内の距離にあり、見た目以上に多数の見どころであふれている。

この記事では桐生と高崎と渋川の魅力をいくつか厳選してご紹介する:

桐生: 豊かな歴史

着物体験、MAYUバスと旧市街の景観

桐生は繊維産業、特に絹織物で有名だ。この地域で繊維の生産が始まったのは果たしていつなのか、正確に答えられる者はいないが、約1300年以上前に始まったと推定されている。今日においてもなお、この地域で生産される着物と帯は、その高い品質と精緻な図案で全国的に有名だ。株式会社桐生再生は、1日3000円の格安価格で本格的な着物のレンタルサービスを提供している。この価格には桐生産の正絹帯のレンタルも含まれる。しかし着物姿で観光名所巡りをするのは大変だ。そんなあなたにお薦めしたいのが8席仕様の低速(最大時速19km)電動バス、MAYUバスだ。このバスには大型の窓があり、景色を眺めながら優雅に観光を楽しむのに最適だ。MAYUバスは土日祝日に無料で乗車でき、桐生市内を2種類のルートで運行している。主要ルートは、伝統的な木造商店や古いレンガ造りの繊維工場が点在する本町地域を通り抜ける。

桐生天満宮

この神社は、見方によれば、桐生が世界に冠たる繊維王国として成功した出発点といえるだろう。1581年、将軍徳川家康が戦勝祈願にこの神社を訪れ、見事に勝利を収めた。この勝利を喜んだ家康は、この神社を徳川家の祈願所と定め、この一事が地域の発展に大きく貢献することとなった。その19年後家康は、日本の運命を永遠に変えることとなった戦い、関ヶ原の戦いの軍旗として使うべく2410反の絹を織るよう命令した。言い伝えによれば、これらの絹はすべて一夜にして織り上げられ、出荷前に徳川の勝利を確するため桐生天満宮で祈祷されたという。平和な現代では、この神社の主な参拝客は勉学の成就を祈る学生たちだ。

鳳仙寺

鳳仙寺は禅宗のひとつ曹洞宗の寺院で、1574年に建立された。丘陵に建つという好立地から建物は火災や戦禍を免れ、建立時の壮観そのままに保存されている。新設の建築物-茶室および開祖、道元禅師と瑩山禅師の位牌が収められている常磐殿が、この伝統的寺院にさらなる美を与えている。本堂には非常に素晴らしい歴史的資料や宗教遺物が展示されているが、中でも注目すべきは、中国・清朝最後の皇帝の甥、愛新覺羅·毓峘氏の手による山水画作品の一部だ。

織物参考館・紫(ゆかり)

様々な時代の織機の宝庫「織物参考館・紫(ゆかり)」は、対話式で楽しい織物体験ができる博物館だ。ビジターは自ら織物体験を楽しむことができる。しかし機織りは簡単そうに見えてなかなか難しいので覚悟が必要だ。この博物館には直接手で触れられる展示物が、のこぎり屋根の建物内部に多数展示されている。いにしえの絹織物工場がそのまま博物館になっているのだ。この珍しい屋根の構造には理由がふたつある。一つ目はジグザグ型の屋根の形状が広い工場に鳴り響く織機の騒音を軽減してくれたこと。二つ目は、窓が北向きなので貴重な絹織物には直射日光は当たらないが、織工たちが仕事をするには十分な間接光が得られたことだ。

ビジターはまた、素晴らしいお土産にもなるハンカチの藍染も体験できる。

高崎と渋川: 伝統工芸と自然を楽しもう

榛名神社

榛名神社は二つのカルデラを持つ休火山、榛名山の山腹にひっそりと佇んでいる。この人目に付かない神社は、人類工学や人間の創意工夫、忍耐力の見事な結実だ。神社の起源は6世紀まで遡り、その創設以来、群馬県の重要な精神的、文化的財産となっている。本殿へと続く参道は長さが約700mあり、その終盤には急勾配の石段が待ち受けている。神社への道のりは遠いが、行く価値は十分にある。様々な建造物にあしらわれた豪華な木彫は目をみはるほど美しいが、何百年も前に丸太をここまで引きずり上げ、これら建造物を建築した人々のことを考えると畏敬の念に身の打ち震える思いがする。

伊香保温泉福一

伊香保温泉「福一」は伝統的和風旅館の最高峰だ。これは、この旅館の持つ400年を超える歴史を考えれば当然のことだ。福一は、観光経済新聞社の5つ星の宿に認定され、旅行業界のプロ達が選ぶ国内屈指の宿のひとつでもある。言うまでもなく食事は豪華で、客室やサービスも完璧だ。しかし福一の一番の魅力はその温泉だ。広々とした大浴場や露天風呂があるうえにサウナまで完備している。大浴場には黄金の湯と白銀の湯2種類がある。黄金の湯は含有される酸化鉄により茶褐色の色合いだ。この温泉は、刺激の少ない柔らかな湯で、身体を芯から温めて血行を促すので、特に女性には「子宝の湯」として親しまれてきたそうだ。白銀の湯の源泉は最近発見されたばかりで、含有成分が微量なので、無色無臭で高齢者や病後の方に向いているそうだ。他人と入浴するのが恥ずかしい人は、貸切風呂も利用できる。(要予約/有料)

伊香保温泉の石段

日本人に「伊香保温泉」と尋ねると、多くの人がその最も有名な構造物「石段」について語り出すだろう。この温泉街を貫き通る365段の階段を登り切ると伊香保神社へと辿り着く。石段の頂上からは息を呑むような山々と眼下に広がる町の絶景が堪能できる。この石段は、759年以降の奈良時代に編纂された日本最古の和歌集「万葉集」に記載が見られることでも有名だ。

石段沿いには小さな伝統的商店が数多く立ち並び、昔ながらの射的場や和雑貨屋や温泉まである。お腹が空いたら柔らかく蒸した、中に甘いあんこの入った温泉まんじゅうを試してみよう。一説によれば温泉まんじゅう発祥の地はここ、伊香保温泉なのだそうだ。

卯三郎こけし

群馬県は全国一の生産量を誇る創作 (新しいスタイル)こけしの産地だ。こけしという名前は知らなくても、見れば何なのかすぐわかるだろう。このおかっぱ頭のぽっちゃりとした小さな木製人形は時を経て世界中に広まり、今ではこけし人形の故郷、職人が丹精込めてこけしを製作している「卯三郎」にも、人々は気軽に立ち寄ることができる。卯三郎こけしを訪れると、工場で大量生産されるこけしの殆どの製造過程を見学ツアーで見ることができる。大量生産といっても、その工程は長く複雑だ。こけしは全て、習得するのに何年もかかる技術で丁寧に手描きされる。職人修行をする時間的余裕のない人は、店内で自分だけのこけしの手描き体験を楽しむことができる。こけしの模様の細かさによって、所要時間は30分から1時間半と異なるが、いずれにせよ世界に一つしかないオリジナルこけしを作り、持って帰れる。スキルに自身のない方は、卯三郎の店内に多数取り揃えられた現代風または伝統的スタイルのこけしを買って帰ろう。

アクセス

桐生: 東京駅から新幹線で高崎駅または小山駅下車後、両毛線に乗り換えて桐生駅下車。所要時間は約2時間。

高崎: 東京駅から新幹線で高崎駅下車。所要時間わずか50分。

伊香保温泉: バスタ新宿バスターミナルから伊香保温泉行き直行バスで約2時間半。

行き方

Kiryu: Take the Shinkansen from Tokyo station to either Takasaki or Oyama, then switch to the Ryomo line to reach Kiryu station. The journey takes about two hours.

Takasaki: The shinkansen from Tokyo to Takasaki only takes a total of 50 minutes.

Ikaho Onsen: There’s a direct bus from Busta Shinjuku Bus Terminal to Ikaho Onsen, which takes two and a half hours.

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