自由学園明日館

日本にあるフランク・ロイド・ライトの建物

個性的な建物を訪ねることは、私の街歩きの楽しみの一つです。以前から、有名なアメリカ人の建築家、フランク・ロイド・ライト(1967-1959),の建物は日本に3つある以外、アメリカにしかないと聞いていました。そのひとつが池袋駅の近くにあるそうです。

 真夏に、その明日館を訪ねてきました。山手線池袋駅と目白駅の間にあるこの建物は、低層で、大きな前庭には立派な桜の木が数本植わっています。到着した時、普通の住宅がひしめき合う池袋駅近くの住宅街に、真夏の日差しとセミの鳴き声が突然飛びこんできまし感じがして、ちょっとびっくりしました。入口で喫茶サービス付の600円の入場券を購入し、午後2時からの無料ガイドツアーに参加しました。年配のおじさんがガイドさんでした。

「屋根は緑青ではなくて、緑色に塗ってあるだけ」

「雨どいは屋根や柱の後ろ側に隠れて見えないようになっている」

「日本の大谷石を使っているところは、日本にあるフランク・ロイド・ライトの他の建物と同じ」

前庭で蝉の声を聞きながら建物の外観を説明してくださいました。

 建物はほぼ左右対称で、会議室3室、食堂、ホール、そして別棟の講堂を見学しました。

「建物はフランク・ロイド・ライトが1921年に自由学園という女学校を開校するにあたって設計したものです。日比谷の帝国ホテルを建てるために来日した時、自由学園の創設者が、建築家の友人にライトを紹介されました。ライトは自由学園の教育方針に共感したので、快く引き受けてくれたそうです。ただ、湿気の多い日本では、床下に縁の下のような、湿気を取り除くために風通しを良くする工夫をする必要があると思わなかったらしく、床板がほとんど腐ってしまいました。十年ぐらい前に改装工事をした時、使えるオリジナルの床板はこの部分だけになってしまいました。」

という説明が、最初の部屋でありました。なるほど、オリジナルの床板と新しい床板は微妙に色が違いました。また、十年前の改装工事の際に照明器具と空調を付けるまでは照明も空調もなかったそうです。訪ねた時、見学した会議室には明かりがついてなかったのですが、読み書きするにはちょっと暗いかなぁ。。。

 でも、建物の中央にある食堂とホールには大きな窓からたっぷり日の光が差し込んできてとても明るい雰囲気でした。ホールでは大きな窓越しに前庭を見ながら、お茶とクッキーを楽しみました。ホールは、今、ティールームとして使われています。では、食堂は?

「建物の各部屋は有償で貸し出しをしていますので、食堂はケータリングサービスを頼んで、結婚式のパーティーなどによく使われていますよ」

とのこと。

ところでこの食堂は年に4回ランチサービスをしているそうです。結婚式を開いたり、結婚式に招かれるチャンスがなくても、食事をしながらこの食堂の雰囲気を楽しめるようです。公式ウエッブサイトにスケジュールが発表されるようなので、近いうちにまたランチを食べに訪ねてみたいと思っています。食堂の壁には聖書の一節らしい言葉が刻まれているボードを見つけました。

「Christ is the Head of this House the Unseen Guest at every Meal the Silent Listener to Every Conversation(キリストは私の家の主です、毎日の食卓に迎える見えない客です、私たちの会話の静かな聞き手です。)」

お行儀よく食事をしたほうがよさそうですね。

自由学園は1934年に東京都東村山市に移転していますが、今もその個性的な教育方針で知られています。

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