河童橋から梓川に沿って、眺めの良い右岸を1時間ほど北に進むと、瓢箪型をした明神池があります。池畔には穂高神社奥宮が鎮座し、この一帯が神域として守られています。池は明神岳の断崖直下にあって、切り立つ岩肌と立ち枯れの木が、厳しい自然の摂理を物語っているようでした。私が訪れた10月初旬、青い空と緑が映し出された鏡のような水面は、神秘的でとても穏やかでした。この池の周辺は、真冬には-20℃を下回りますが、全面が凍ることはありません。明神岳から湧き出す伏流水が、常に池の水に流れを作っているためだそうです。
10月8日の穂高神社奥宮例大祭の朝、まだ人の少ない明神池の畔に腰掛け、この美しい水面に見入りました。