フランスのギド・ヴェール(グリーン・ミシュラン)で二つ星を獲得した「指月殿」は、伊豆半島の中央、修善寺温泉にある小さな御堂である。鎌倉幕府の二代将軍・源頼家は、頼朝の死後18歳にして将軍の座に着いたが、弟の実朝を擁する北条氏と対立した。結果、修善寺で入浴中を襲われ、23歳で非業の死を遂げる。母・北条政子は、頼家の菩提を弔うために指月殿を建立し、中国宋時代の一切経、数千巻を納めた。95年後、中国元の使者として来日し、北条貞時に間諜の疑いをかけられた禅僧・一山一寧は、この地に幽閉されながら、禅の修養に日々を過ごした。穏やかでリズムのあるその墨蹟が、指月殿の扁額に残されている。血なまぐさい侍の世を、元の高僧はどう見ていたのだろうか。
修善寺 指月殿
源頼家の悲劇と一山一寧
Tomoko Kamishimaによって
コミュニティライター
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