岩手県は国内二番目に広い県であり、歴史的に重要な地であるだけでなく、豊かな自然そして固有の文化を守る里山もあります。地元の温かいもてなしや民話に包まれて、リアルなそしてのどかな日本を体感したい人にはうってつけです。
岩手県は、東京から北に向かうアクセスが便利な東北地方の一県で、地理的に多様な特徴をそなえています。岩がちな海岸線と砂浜が太平洋沿いに続き、一方では高くそびえる山々とふもとの美しい森が秋田との西側の県境を区切っています。いつ訪れても、変化する季節ごとの景観が目を楽しませてくれます。
見どころをいくつかご紹介しましょう。
ユネスコ世界遺産『平泉』
平泉は、一時は京を凌ぐまでに繁栄した中世の地方都市でした。そして奥州藤原氏が統治する奥州の文化的中心地かつ最大の都市であり、中央政府に壊滅されるまでは藤原一族が国の三分の一を支配下においていました。現在は寺院庭園そして天然記念物に富む世界遺産でもあります。この地で最も著名なのが『中尊寺』『毛越寺庭園』『達谷窟（たっこくのいわや）』です。中尊寺の金色堂は、創建当時から屋根の内外ともに金箔を施したもので、1124年の創建当時そのままを伝えています。
厳美渓（げんびけい） ／ 猊鼻渓（げいびけい）
平泉に近く、絶景と並び称されるこの2つの名勝地は、名前もとても似ています。
知名度は厳美渓の方が高いかもしれません。その遊歩道や渓谷にかかるつり橋と渓流、そして谷と森が織りなす景観が有名です。猊鼻渓では、100メートルあまりの高さの壁岩を下から見上げる舟下りができます。この2つの名所は特に11月初旬の紅葉の時季には、写真映えする絶景として人気を集めています。
三陸海岸と三陸鉄道
三陸海岸は太平洋側に宮城県から青森県まで続く海岸で、岩手県内で最長の海岸線です。このエリアの楽しみ方をいくつか挙げてみましょう。まずはレトロな雰囲気の三陸鉄道への乗車自体が、岩手での楽しい行程になるでしょう。この鉄道は人気の観光スポットを全てたどり、地元グルメはもちろんのこと、冬はこたつ列車などで観光客を呼び込んでいます。さらにこの路線は、国民的人気ドラマ「あまちゃん」の舞台ともなり、震災を乗り越え2014年に全線再開してからは、復興のシンボルとなっています。
小袖海岸
人気テレビドラマのタイトル『あまちゃん』は、ウニや鮑を素潜りで漁る女性の《海女》から由来しています。昔は漁師の妻が、漁に出た夫に代わり家族を養う為に海女として働いたものでした。海女は、1度の潜水で1分以上息を止めて10個あまりのウニを採れるそうです。『小袖海女センター』では海女の歴史を紹介し、七月から九月は実際の海女の素潜りを見たり、そこで獲れた新鮮なウニを食べられます。
小袖海岸のある久慈市は、ドラマ『あまちゃん』の架空の地元『北三陸町』のモデルでもあります。小袖海岸はその中心にあり、三陸復興国立公園内でいくつかある美しい眺めの海岸の1つです。
浄土ヶ浜
浄土ヶ浜は、岩がちな三陸海岸に散在する浜の1つです。三陸海岸の象徴とされ、純白の砂浜で知られています。
静かな波の上をボートで付近の岩や地層に近寄って眺めたり、また洞窟を探検するツアーもあります。遊泳向けの海岸ではないものの、その景色は独特そして印象的であり、仏教で天国とされる「浄土」と名付けられた理由も納得できます。
龍泉洞
龍泉洞は約5,000メートル以上もの奥行きがあると推測され、日本で最大級の鍾乳洞です。現在も調査中でまだまだ未知の部分があります。洞窟内のツアーでは、最高では90メートルもの深さにもある3つのエメラルドグリーン色の地底湖をめぐります。洞の内部には見学者が歩ける木道やアーチ道が水の流れに沿って整備されています。
私が参加したツアーでは見られませんでしたが、地下120メートル以上深くにある地底湖は、日本で一番深い場所にある湖だそうです。そして興味があれば、多種のコウモリを観察できる洞窟でもあります。
遠野ふるさと村
遠野ふるさと村は岩手県のほぼ中央にあり、民俗学の都と称される遠野の文化施設です。
遠野は民話の里として知られ、またいたずら好きで川に住んで人間をたぶらかす妖怪『河童』が、今も住む地とされています。遠野ふるさと村では、ワークショップやイベントを通じ農村の暮らしや文化を体験できます。昔からの季節の祭り・田植え・流鏑馬を伝承する遠野では、日本の地方の豊かな生き方が今も伝えられています。行事の日時は事前にご確認ください。
小岩井農場
日本の田舎をもっと現代的に楽しむには、日本一の面積を誇る『小岩井農場』がおすすめです。火山噴火で一時は不毛とされた地を、120年もの時をかけて豊かな牧場そして緑地へと拓かれました。現在小岩井農場は観光地としても有名で、人里離れて心癒やされるだけでなく、販売される乳製品・動物とのふれあい・星の観測会などもとても人気があります。現在も稼働している家畜小屋やサイロなどの牧場施設の見学・毛糸紡ぎ体験・森をトラクターでめぐるツアー・バター作り体験などもできます。乳製品（チーズ・アイスクリーム・牛乳）だけでなく牛肉や羊肉も、施設内での食事や買物で満喫できます。
安比高原スキーリゾート
安比高原は日本で最大規模のスキー場があり、その雪質とスケール感のあるコース、そして温泉や宿泊施設が多くあることでも有名です。スキー場では20以上のコースと16のリフト、さらにコース平均が国内最長２キロ以上あるので、ウィンタースポーツを楽しむ人には憧れの地でもあります。スキーシーズンは通常12月初旬から５月初旬で、その後は、夏のアクティブな観光にもおすすめです。４つのゴルフ場・観光牧場・ゴンドラでめぐるツアー・ハイキングコース・スポーツクラブなどが楽しめます。こちらのウェブサイトで、バーベキューや夏の花火大会の情報等も紹介しています。
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