京都・嵯峨野「二尊院」参詣~4

「六体地蔵尊(ろくたいじぞうそん)」

嵯峨野路歩きで訪れた化野念仏寺にも在る「六体地蔵」は、日本全国にあまねく見られる「お地蔵さん」という民間信仰そのものである。
お地蔵さん、すなわち、地蔵菩薩は最も弱い立場の人々を再優先で救済する菩薩だ。それゆえにお地蔵さんは広く深く民衆に愛されてきた。

私達の一生は苦しみの連続である。四苦八苦という。生まれたことの苦しみ、老いる苦しみ、病の苦しみ、そして死ぬことの苦しみ。それに加えて、生きる苦しみがある。生きる苦しみとは求めることが得られず、怨み憎しみがあり、愛する者と離れ、病になり老い死ぬ。

空海は説いた。「この生涯にて悪しき行為をなせば、後には必ず三途(畜生界・餓鬼界・地獄界)に落ちるだろう。」仏教では魂は輪廻するとされる。六道輪廻の思想(全ての生命は地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人道、天道の6種の世界に生まれ変わりを繰り返すとする)に基づき、六道のそれぞれを6種の地蔵が救う。

「二尊院」の本堂はずれに佇む「六体地蔵尊」。ひときわ大きな地蔵菩薩の足下の蓮に刻まれた「遊戯六苦 抜苦与楽」とは「衆生の苦しみを取り除いて安楽を与えること」の意味だ。この現世そのものが煉獄であって修行の場だとすれば、祈願するだけで日々の生活が悪しき行いに満ちていては地蔵菩薩も救いようがない。
手を合わせる毎に自戒の念を呼び覚ましてくださる声に感謝しつつ、清濁併せ呑まなければならない此岸の生を心から慈しみたいと思いつつ、「二尊院」の山門を下った。

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