二尊院(にそんいん)の「湛空上人廟」(かんくうじょうにんびょう)辺りの林は恐らく数百年昔から少しも変わっていないのではないだろうか。その必然性もなさそうである。鳥の鳴き声と、風にそよぐ葉の打ち合う音しか聞こえない。このような幽玄の場であれば和歌を詠む霊感も湧き上がろうと感じられる。藤原定家が編纂した和歌集は、天智天皇からの名歌人100人を選び、その歌人たちの作品でも名作を選び抜いて編纂したものだ。この地、小倉山で編纂されたので「小倉百人一首」と呼ばれる。歴代の天皇を支えた公家(くげの)方の墓が立ち並ぶ。御霊の冥福を祈念して静かなひとときに安らぐ心地だった。
京都・嵯峨野「二尊院」参詣~3
公家方の墓廟と時雨亭跡
Shozo Fujiiによって
コミュニティライター
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