二尊院(にそんいん)の「湛空上人廟」(かんくうじょうにんびょう)辺りの林は恐らく数百年昔から少しも変わっていないのではないだろうか。その必然性もなさそうである。鳥の鳴き声と、風にそよぐ葉の打ち合う音しか聞こえない。このような幽玄の場であれば和歌を詠む霊感も湧き上がろうと感じられる。藤原定家が編纂した和歌集は、天智天皇からの名歌人100人を選び、その歌人たちの作品でも名作を選び抜いて編纂したものだ。この地、小倉山で編纂されたので「小倉百人一首」と呼ばれる。歴代の天皇を支えた公家(くげの)方の墓が立ち並ぶ。御霊の冥福を祈念して静かなひとときに安らぐ心地だった。
京都・嵯峨野「二尊院」参詣~3
公家方の墓廟と時雨亭跡

Shozo Fujiiによって
コミュニティライター

かはたれ時の小雨に濡れた落ち葉の赤が鮮やかだ

旧摂関家(せっかんけ)の「二条(にじょう)家」、「鷹司(たかつかさ)家」の墓廟が立ち並ぶ墓地

香道の創始者である「三条西家」もここを菩提寺にしている

豪商「角倉(かどくら)家」も墓廟を持つ

墓廟の左隅から小倉山の斜面の細道を100メートルほど進むと時雨亭だ

崖をぐるりと回り込むように伝い歩くとその先に開けた平地がある

歌人、藤原定家がこの場所に「時雨亭(しぐれてい)」という山荘を持っていた

山荘の礎石跡なのだろうか。もっとも、「時雨亭」跡はここ以外に2箇所あるから、どこが本物なのか定かではない

時雨亭そばの林では、ヒノキの皮を剥いでいる男性がいた

時雨亭跡辺りからは嵯峨野の街が眼下に一望できる
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