京都の人たちはほうじ茶を好んで飲むという。煎茶が一番葉、二番葉で作られるのに対し、通常番茶と呼ばれるお茶は三番葉、四番の葉が使われる。甘みが少なく渋みが多い。そのため焙じて風味、香りを出す。これも美味しく飲むためによく取られる方法である。
京番茶というお茶がある。
茶葉を焙じるその焙煎煙が茶葉全体に染み渡り、それが一種独特の個性になって、まるでハーブティーでも飲んでいるかのような深い味わいだ。
ご飯に良し、お茶漬けに良し、仕事の合間のお茶に良しである。
京都で京番茶が買える茶舗が二軒ある。老舗の「一保堂」は大店の構えに対して、柳桜園はぐっとこじんまりとした京町屋の住居の風情である。
柳桜園を訪れた。
一保堂では京番茶のことを「炒り番茶」と呼ぶが、柳桜園では「刈り番茶」という。面白いものだ。
急須で入れるのも美味しいが、やはり京番茶はやかんで煮出すに限る、とは店員の説明。煮だすとスモーキーな香りに加えてコクが出るのだ。
しかも、煮出し京番茶は冷めても美味い。
300gで630円。他のお茶に比べてとても安いから余計に嬉しい。
見えないところは徹底的に始末する京都の人ならではのお茶へのこだわりである。それでいて美味しいのだからそのスタイルはとても理にかなっている。