熊野本宮大社と大斎原

世界遺産:熊野古道3

熊野古道は、黄泉の国・熊野への、いにしえの参詣道です。身分によらず、年齢・性別によらず、困難な旅を経て熊野に入り、人は一度死んで魂を浄めます。そして、熊野三山と呼ばれる3つの社に詣で、家路につく頃には、生まれ変わって再生を果たす、というのが熊野信仰の御利益です。

熊野三山の一つ、熊野本宮大社は、来世での魂を救済する神と考えられてきました。速玉大社で前世の罪を浄め、那智大社で現世に良縁を結び、本宮大社で未来を安堵されるのです。

熊野本宮大社は、黄泉の国・熊野の森を流れる熊野川の中洲にありました。人々はまず、川で水垢離をしてから本宮大社に参詣したということです。しかし、1889(明治22)年の大洪水で、本宮大社は社殿の大部分を失ってしまいました。その後、残った建物は北西に10分ほど歩いた現在地に移築されました。大斎原(おおゆのはら)と呼ばれるかつての社地には、日本一の大鳥居が建っています。

5月下旬に訪れた時、歩道から少し入ると、水を張った田んぼの中に、巨大な鳥居がこつ然と姿を現しました。石の参道がまっすぐ大鳥居に向かって伸びていきます。私は参道を進まずに、しばらくこの鳥居を眺めていました。その時、日本の神は稲作と深くつながっているのだと、しみじみと感じました。その日の夕刻、再び戻って夕闇に溶けるような鈍色の鳥居を眺めました。そして翌朝、朝靄の中に凛と立つ鳥居を見た瞬間に、ひれ伏したくなるほど、厳かな気持ちになりました。

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