熊野古道は、黄泉の国・熊野への、いにしえの参詣道です。身分によらず、年齢・性別によらず、困難な旅を経て熊野に入り、人は一度死んで魂を浄めます。そして、熊野三山と呼ばれる3つの社に詣で、家路につく頃には、生まれ変わって再生を果たす、というのが熊野信仰の御利益です。
熊野三山の一つ、速玉大社は、前世の罪を浄めてくれる場と考えられていました。熊野川を背に、海に開けた速玉神社では、水の流れが絶えることはありません。浄化という役割に、なるほどと思いました。その速玉神社の西へ30分ほど行くと、小高い丘の上に巨石を祀った神倉神社という摂社があります。鳥居をくぐると、538段の急な石段が目の前に立ちはだかっていました。杖を借りて、息を荒げながら上っていくと、ありました!写真で見たことのある、今にも転がり落ちそうな巨石・ゴトビキ岩です。岩の隣にあるお社からは、熊野灘を見渡す絶景が広がっていました。