ザ・プリンスパークタワー東京。このホテルの 33 階 にあるスカイラウンジの素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。古い歴史を持つ大都市東京のど真ん中に位置するこのホテルは、東京タワーや壮麗な増上寺からも近い。高層ビル内の気取ったバーやラウンジの中でも、とびきり極上のこのスカイラウンジだが、その高さと広さは絶妙だ。程よい高さのラウンジ内からは周囲の絶景が眺望でき、しかし高すぎないゆえにビルの細部や路上に行き交う人々の様子もつぶさに窺える。100 人近くの客を収容できるにも拘らずこじんまりしており、バーカウンター席も含め全ての座席から景色が眺められる。豪華なベルベットのソファがくつろぎの空間を演出し、一日たっぷり観光して疲れ切った身体を癒してくれる。
18 時半にもなればスカイラウンジは混み始めるので、夫と私は 17 時半に行ってみた。フレンドリーなスタッフ ( 全員が流ちょうな英語を喋る ) が、マティーニやウィスキー、シャンペン、凝った名前の季節のカクテル等が満載のメニューを薦めてくれた。 フォールティ・タワー・サワーだって、誰か如何 ? 私たちは じっくり品定めした後、東京タワーカクテルとゆずマティーニを注文した。細長いグラスに入った東京タワーカクテルは、もちろん隣に建つ歴史的建造物のことで、オレンジジュースとベルベデーア・ウォッカのミックスに、おしゃれなにんじんとみかんのスライス、最後の仕上げにさくらんぼが乗った、このラウンジの看板メニューだ。しかし滑らかな口当たりのグレイグース・ウォッカにゆず風味を散りばめ、アーモンド味をプラスしたゆずマティーニも、看板メニューに負けず劣らず素晴らしく、共に危険なほどに美味だった。
流れる雲が東京タワーにまとわりつき、そぼ降る雨のしずくが床から天井まである窓を伝い落ちる。そんな風景を眺めながら二人でお酒を飲んでいると、「でも、下の景色も良く見えるから、それほど高い所にいる気分はしないなあ」、と主人が言った。眼下では、近くのカフェや周囲のオフィスが放つ明かりが、徳川将軍家の菩提寺である 荘厳な増上寺と満開の桜 を共に映し出している。東京タワー自身も柔らかなオレンジ色に点滅し(ライトの色は季節ごとに変化する: 冬は温かなオレンジ、夏は涼しげなオレンジ、乳がん撲滅デーにはピンク、金曜日は楽しい虹色)、そのたびにラウンジ内からは「おお、ああ」という歓声とため息が漏れる。東京で過ごす 1 日の最期を飾るに相応しい声だ。
一口アドバイス
・東京タワーのライトアップを最高の席で見たいなら、平日の早目に行こう。平日の開店時間は17 時、休日は15 時だ。
・ラウンジは喫煙可能だ。ということは、早目に行けば人も少なく、副流煙も少ない。
・メニューには軽い前菜からボリュームのある食事まで揃っている。お腹が減っていても心配無用だ。