昔は酒造元であったという2000坪の敷地にとうふ屋うかいはある。広々とした店内を歩いていると、その名残りで大きな醸造樽を目にする。一樽で1000本から3000本の瓶を満たす大きなものもある。
敷地の傍らには都内名所の一つである増上寺があり、元々その周辺は徳川家氏族の私有地だった。16世紀末には25万坪にもおよぶ広大な敷地を有していたという。
食事をする部屋からは、紅葉の時期には特に美しいもみじの木や小池にかかる趣のある水車が望める。
とうふ屋うかいは、おひとり様から団体利用まで様々なタイプの個室を提供している。50人のパーティを催すこともできる。肘掛け付きの快適な座椅子に座って畳部屋での食事、掘りごたつ、またテーブル席もある。
質と量を考慮すると、値段に関しては財布が失神してしまうというほどではない。11:00~15:00のランチは5,500円か6,500円の2つのセットメニューから選択。僕たちが訪れた際は5,500円の竹コースを注文。大変満足のいく内容であった。ディナーは8,400円~12,600円の3つのコースメニューから選択する。とうふ料理のみならず、刺身、牛肉、バラエティに富む野菜料理もコースに込まれている。
東京タワーの目と鼻の先のとうふ屋うかいは、最高の立地のもと美味しく日本を体験するにはうってつけと言える。訪れる際はゆったりめに時間を設定してほしい。食事をさっと食べて出て行くような場所ではない。こちらの食べるペースを熟知した接客係が、完璧なタイミングで一品ずつお料理を運んできてくれる。
とうふ屋うかいはチェーン店ではあるものの、各店舗が違ったテーマを持っている。都外にも店がある。もし機会があれば、新宿から京王線で約90分、高尾山の麓に位置する「うかい鳥山」にもぜひ足を運んでほしい。