五月はバラの季節です。そして、東京のバラと言えば旧古河庭園です。
このバラ園は、古河財閥3代目当主の邸宅の庭で、1917(大正6)年に竣工した洋館の前庭として英国人建築家・ジョサイア・コンドル(1852-1920)が設計しました。
庭全体が和洋折衷になっていて、丘の上の洋館と、斜面のバラ園は洋式、そして敷地下方の日本庭園へと緩やかに移行していきます。日本庭園は、かの有名な京都の植治こと、小川治兵衛(1860-1933)の作庭です。植治は、無鄰菴、平安神宮、円山公園等、後に名勝庭園となるすばらしい庭をたくさん残しています。
さて、五月になると庭のバラがいっせいに花開きます。そして同時に、それまでひっそりとしていた庭に、人々がどっと押し寄せます。バラを目当てに旧古河庭園を訪れたとしても、ぜひ日本庭園まで足を運んで、文明開化のころの元祖・和洋折衷をお楽しみいただきますように。