福井県鯖江市は世界的に有名な眼鏡の産地である。
付加価値の高い高級眼鏡フレームやレンズを最先端技術で製造している。
あのキアヌ・リーヴスの映画「マトリックス」で俳優たちがかけていたサングラスもMade in Sabaeだ。
今日のハリウッド映画で俳優たちがかけているサングラスやメガネの多くが鯖江製。
もはやSabaeは世界のブランドである。
鯖江に住む人たちはそんな鯖江にとても誇りを持っている。
鯖江市民がとても大切にしているのが、市の中央部にある「西山公園」だ。
日本歴史公園百選にも入っており、また花の名所であるこの公園は彼らの憩いの場でもある。
この公園の歴史は古く、160年以上さかのぼる。
江戸末期、幕府の老中職を務めた鯖江藩第7代藩主間部(まなべ)詮勝(あきかつ)公が藩民の憩いの場にとこの公園を造営した。
春の桜とつつじは特に名を馳せていて、市内外から多くの人が鮮やかな花を楽しもうと公園を訪れる。
桜はソメイヨシノ種が1,000本、つつじは何と50,000本が植わっている。
散りゆく桜並木を歩いてきた。
満開の桜は、それは豪華絢爛で見ごたえがあるが、私なんぞは花の散り往く寂しさが募り、はかなさが気になって仕方がない。
しかし、三部散りくらいの桜はどうだろう。
吉田兼好翁がのたまったように、確かに「桜は盛りに」と思う。
風に舞う花びら。石段に吹きだまった花びら。
赤く小さな葉とともに懸命にはなびらを離すまいとする枝。
往く春を惜しむように、薄ピンクの花弁は揺れる。
皐月の頃には、公園は赤や薄紅や朱や濃桃のつつじとさつきの花の絢爛に包まれる。
秋にはこれらの桜やつつじの紅葉がこれまた見事だ。
どの季節に訪れても美しい公園である。