Coれんこんは、龍庵と同じくれんこんの姉妹店。居酒屋甲子園に上位入賞しただけあり、フレンドリーな接客とみごとな創作料理、畑から始まる食材選びもこだわりがある。
熊本では、れんこんに辛子味噌を詰めて天ぷらにし、輪切りにして食する辛子蓮根が有名だ。英語で言えば、「マスタード入り味噌詰め、れんこんフライ」など、うまそうな響きではないかもしれないが、ビールや焼酎に合うつまみとなる。実際のところ、辛子蓮根はヘルシーで、起源は細川藩主時代、約200年以上遡ることになる。からっと揚げられた蓮根にぴりっときいた辛子が食欲をそそる。
それ以外にも、Coれんこんにはおつまみ系の料理が豊富だ。私のお気に入りは、あさりの酒蒸し。バター風味にしあげられていて、大根とネギが添えられている。まるでヨーロッパと日本が融合した様な味で、例えば札幌のバター味噌ラーメンのコンセプトを思い出させる。また、阿蘇山の伏流水の恩恵を受けた熊本ならではの、まろやかな味に仕上がっている。
海老とキャベツの生春巻きはベトナム風にスパイスとライスペーパーで巻き、そのままほおばる。ねぎとキャベツの千切りが海老のうまみを引き立てている。一人ではなかなか食べきれないだろうから、何人かでシェアするつもりで注文するとよい。
ここは家族や友達との集まりやお祝いで、生ビールのジョッキでもって乾杯するのにふさわしい場所だ。二階はダークブラウンの柱、ライトブラウンの床、壁には着物姿の女性とビールの描かれた大正風(1920年代)ポスター、とすばらしい雰囲気が醸し出されている。私は年代の異なる六人と共にやって来たところ、二階の座敷席に案内された。布のカーテン、壁の衣文掛けなど、お正月に叔母の家に遊びにでも行ったかのような家庭的な温かさがある。壁に掛かったお品書きも筆で書かれて昔に引き戻されたような気分だ。もし、日本語が話せるなら、何を注文したらいいかとお勧めをきいてみるとよい。日向地鶏をテーブルで炭焼きにし、沖縄の塩でいただくのが人気のメニューだそうだ。南関産や山鹿産のご飯によく合う一品だった。もし床に座るのが窮屈なら、一階のテーブル席に座るとよい。特に、ほろ酔いで狭い階段を上り下りするのは厳しいかもしれない。
Coれんこんは旧浜線沿い。南熊本駅から、旧浜線南西方向に向かって進み、熊本萩原郵便局を過ぎ15分ほど歩くと左手に見えてくる。熊本城や市街地からは少し遠いが、Coれんこんまで足を運ぶ価値はあるだろう。