華厳の滝は、日光中禅寺湖の水が一気に流れ落ちる直下型の滝だ。その激しい水流は大谷川を経て日光市外に至り、やがて鬼怒川に合流する。太古より涸れることなく流れ続けた滝は、どの季節にも神秘的で荘厳な表情を見せてくれる。雪解けの春から瑞々しい新緑の夏、輝く色彩に抱かれる秋、そして白銀の冬、滝は四季を通じて見事な変化を遂げる。
滝の概要
華厳の滝は幅7m、落差97m、表出した伏流水が小滝となって、本流とともに滝壺にふり注ぐ。無数の小滝が岩肌をすべるように落ちていく様は、まるですだれが掛かっているかのようだ。
観瀑台
無料の観瀑台は、駐車場の右手にある。やや上から滝を見下ろす位置にあり、周囲の山々や、滝の遠景を眺めるのに適している。有料観瀑台は、滝壺付近まで100mほど降りるエレベーターでアクセスする。入口は、駐車場奥の建物内にある。約1分で滝の落下点近くまで降りたら、暗い通路を歩いて観瀑台に出る。ここでウィンドブレーカーを着て、さらに階段を下り、轟音たなびく岩床に立ってみよう。飛沫を浴びながら見る大迫力の滝壺は、まさに壮観だ。ただし、無防備に降りるとずぶ濡れになるのでご注意を。ところで、滝をさらに遠くから眺める方法もある。上りのいろは坂にあるロープウェイに乗って、明智平展望台から遠望するのだ。周囲の山々や中禅寺湖と滝とのコントラストが美しい。広い展望デッキからは、まさに奥日光の大自然が満喫できる。
滝の名前について
華厳の滝を発見したのは、日光を開いた勝道上人だと言われている。勝道上人は、発見した滝に、阿含の滝、般若の滝、涅槃の滝など、様々な経典の名をつけている。華厳の滝は、時間も空間も超越した存在である仏について説いたという華厳経から命名された。
駐車場のフードスタンド
地元の食材を使った食べ物が並ぶフードスタンドがあるので、のぞいてみると面白い。岩魚や山女魚の炭火焼き、五平餅、山菜そばなど、日光の特産品が楽しめる。
日光に行くなら、絶対に外せない場所は3つだ。東照宮、中禅寺湖、そして華厳の滝である。最も華やぐ季節は10月中旬から下旬の紅葉シーズンだが、人の波は避けられない。じっくりと滝の勇姿を眺めるには、水量が増すゴールデンウィーク明けがいい。