カフェで雨宿りをしている間に、西の空が明るくなっていた。
京都四条通を東に向かって歩く。
夕焼け空を背負いながら。
自分の影を踏みながら。
通り過ぎる左右の路地を覘きながら。
そんなぶらぶらが大好きだ。
どこかに寄ってビールを飲みたくなった。
京都を去る前にふらりとレストランやバーに立ち寄るのが、このところ儀式になってきた。
四条烏丸近くに「イル・ギオットーネ バール」というレストランバーがある。
予約は入れてない。
いちかばちかで訊いてみる。
「ご予約されてないんでしたら、こちらのカウンター席でよかったら空いてますが~」。
入り口すぐのカウンターに4席。
テーブルにはデコレーションボトルが置かれている。
No problemだ。
見れば、中で男の人2人が忙しそうにビールを注いだりハムを切ったり、カクテルを作ったりしている。
オープンキッチンが大好きな私はこの場所が気に入った。
福井の「バードランド」のオーナー・小田原さんからこの「イル・ギオットーネ・バール」で働いているMさんを訪ねてみたら?と、紹介を受けてたので、
「すみませ~ん、Mさんて方いらっしゃいますか~?」と聞いて見ると、
「私ですけど~」と、目の前のめがねの人。
「いやあ、うれしいなあ、わざわざ故郷の人が尋ねてきてくれるなんて~」と、満面の笑顔。
彼は3年前、単身イタリアに渡り、サルデイニヤ島のホテル、レストランで修業をしてきた。
友人からは、すぐに開店したら?と勧められたんだそうだが、資金のこともあり、もっと国内のレストラン事情も見たかったから、ここでさらに修業をすることにした。そうだ。
近い将来の彼の夢。
その夢の中にふんだんなイメージが構築されているのだろう。
彼の作ったご馳走サラダ。
いろいろサービスで乗っけてくれて私はごきげんだ。
この日はおいしいビールを2杯いただいただけだったのであれやこれやとはオーダーをしなかったけれど、晩御飯の前にちょっと喉を湿らすために寄るバーなら、ここは最高だ。