旅行をするとき、宿選びはとても重要である。
「自分はその宿でどんな時間を過ごしたいんだろう?」
これをあらかじめ明確にしておかなければならない。
その人の旅への思いと経済力とで、ホテルは決まってくるのだ。
豪勢で高級さの中にわが身を浸すのが至上の喜びの人ならばお金に糸目をつけずに完全なサービスを受け取れる超快適ホテルを選ぶだろう。
それもいいが、私がお薦めしたいのはキッチンの付いたアパートメントホテルである。
普段の生活の中の例えばパーティーの後に泊まるホテルと違って、旅先では一日のぶらぶら歩きを終えて、その思い出をパートナーと話したり、あくる日の朝などホテルの朝食時間に拘束されずに部屋でゆっくりしたい、でも食事も取りたいというようなことが予めいろいろ想定されるものだ。
そうなると、その準備も多少は事前に済ませておける。
連泊になる場合なら尚更なのだが、ホテルの部屋でパートナーと一緒に誰にも気兼ねなく過ごせるプライベートディナーは素晴らしく素敵だ。
外に出てレストランでのディナーも大好きだが、酔って部屋に戻ってくる面倒もある。
だが、自室だとすぐにベッドに転がることができる。
たまには、こういうお行儀の悪いことも旅先の我がままと贅沢として自分に許したい。
そのためには部屋に食器やグラス、カトラリー、電子レンジ、できればキッチンナイフなどが必要となってくる。
1週間から2週間という中長期の海外旅行では、私はいつもキッチン付きのコンドミニアムを宿に選ぶ。
だが、たとえば京都のように身近な旅先の場合でも、ちょっと準備をして行くだけで旅の楽しみ方は数倍になるから、ぜひ試してほしいのだ。
まず、この「シタディーン京都烏丸五条」でもそうだが、料理用のぺティナイフをグラス拭き用のクロスに包んでスーツケースに入れて行きたい。
これがあると、皮つきの果物、ハム、チーズなどの食べ物を買い込んで、それをプレートに綺麗に盛りつけられる。
ドリップオンのレギュラーコーヒーパックも4,5袋持とう。
旅先でのコーヒーは当たり外れがあるから、飲み慣れた味だと朝がとても気持ちいいからだ。
スポンジと食器洗い洗剤も小さなプラスティック容器に入れて行こう。
フロントでも売られているが量の割にとても高い。
それと、これは私のこだわりだが、部屋でのディナーには缶ビールもおいしいのだけれど、やはりシャンパンやワインは最高だ。
となると、それを楽しむにはちょっといいグラスがほしい。
ホテルによってはワイングラスを置いてある所もあるが、大抵はタンブラーしかない。
このシタディーンもそうだ。
だから、私は自宅から携帯可能な箱入りのリーデルワイングラスを持って行く。
そこまで準備をするのだから、肝心の料理はどうするかというとである。
「シタディーン」からだと散歩がてらに歩いて河原町の大丸や高島屋のデパ地下で惣菜を調達したい。
サラダ、肉、煮物、パン、チーズ、ワイン、ビール。それこそ何でも好きな物が調達できる。
翌朝用にヨーグルト、フルーツ、ナッツ入りのパンも忘れずに。
ただし、旅先では皿とグラスから自分の口に入れる以外の動きは何もしたくないというような御仁には、このようなプライベートディナーは不向きである。
逆に、準備も飲食も後片付けも一緒にラブラブで楽しみたいカップルなら、最高の盛り上がりの宵を楽しめることを請け合う。
ホテルの立地、全体の館内のスマートさ、室内の明るいデザインと清潔さ。そしてキチネットが付いているということ。
これらを併せて、私はこの「シタディーン京都烏丸五条」を、京都の旅の宿として喜んでお薦めする。