京都 等持院

ソナタを奏でる夢窓疎石の庭

等持院には、禅僧・夢窓疎石の作庭による東西二つの庭がある。西の庭は立体的で繊細、東の庭は野趣に富んだ平坦な庭である。赤い毛氈を敷いた部屋でお抹茶をいただきながら望む西の庭には、庭石や植栽に、明るく細やかな印象を受ける。用意されたサンダルを履いて庭に下り、まず左手の築山にある茶室・清漣亭に行く。そこからの眺めは、池などを見下ろして清々しい。そのまま奥へと歩みを進めると、道は次第に狭くなり、木立に囲まれた暗い森の中に吸い込まれていくようである。この辺りが東の庭で、有楽椿を眺め、池に沿って苔庭を回遊する。やがて視界は開け、初めに見た西の庭に戻る。つまりここは、一つのテーマが展開して、もう一度再現されるソナタ形式の庭なのである。

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