私は古き面白き物を探求するのが好きだ。そんな私の果てしなき発掘探検旅行の途上、遂にこの私にも佐賀の秘宝の一つを訪れる機会が到来した。この寺は侍文化を紐解いた日本で最も有名な書物の一つ、「葉隠」 ( 隠れた葉の意 ) の象徴と言われている (英語ではこの葉隠、「武士道 (侍の道)」と呼ばれることが多い)。寺社仏閣巡りが好きな人には、佐賀を訪れた際、是非立ち寄って欲しい寺だ。
佐賀は「葉隠」と因縁が深い。なぜなら葉隠の作者が、かつて佐賀地方を治めていた鍋島藩藩士だったからだ。その藩士の名は山本常朝 ( つねとも ) という。最近私が書いた別の記事、「佐賀城」においても触れたが、この寺と佐賀城は歴史的繋がりが深く、是非同じ日に訪れてほしいものだ。
山本常朝は長年鍋島藩に仕えた後、出家する。そしてこの高伝寺は、彼が剃髪して仏門に入り、名を常朝 ( じょうちょう ) と改めた場所なのである。
1,659 年から 1,669 年にかけて、高伝寺の住職を務めた湛然梁重 (たんねんりょうゆう) という禅僧がいる。この僧侶は山本常朝に深い影響を与えたと言われている。この僧侶の教えや哲学が葉隠思想を体現していたからだ。湛然和尚が時に「葉隠和尚」とも呼ばれる所以である。
4 月 19 日と 20 日、たまたま佐賀に居合わせる人はこの上なくラッキーだ。この日は、高伝寺にある日本最大涅槃像の一つ、大涅槃像を見られる絶好のチャンスなのだ。300 年も前に描かれたこの涅槃像、高さ16メートル、幅6メートルもある。残念ながらこの歴史的傑作を目の当たりにする機会は、殆どないと言っても過言ではない。しかしタイミングさえ合えば、見られるチャンスはある!
もっと奥深い旅の経験をしたい人には、佐賀を訪れる前に「葉隠」を読むことを是非お薦めしたい。簡単に手に入る上、佐賀武士の興味深い歴史的背景を学べるからだ。また、主だった観光地では標識は日本語と英語両方で書かれているため外国人でも安心して訪問できる。