大阪・新世界

独特な文化が交錯するレトロな街

新世界とは言葉通り「新しい世界」の意。なのに大阪の新世界は実際のところ新しい世界ではない。それどころか、2012年には100周年を迎え、異文化の香る独特でレトロな街として多くの人びとを魅了し続けている。今では想像がつかないけれど、100年前は広大なタマネギの栽培地帯で周りには何もなかった。1903年に開催された第5回内国勧業博覧会がきっかけで市街化が進んだ。博覧会は5ヶ月間で入場者530万人という大盛況の内に幕を閉じ、その後の新世界の発展に多いに貢献した。

街のシンボルとなっているのは1912年に完成した新世界の誕生を象徴する「通天閣」。天国に届く塔という意味を持つこのタワーは今でも新世界のランドマークで、その南側はニューヨーク、北側はパリの街がモデルとされている。

今日、新世界は独特でレトロな雰囲気を持つ街として有名だ。天王寺動物園(東京の上野動物園に続き日本で2番目に大きい)の最寄りにある「動物園前駅」から散策をはじめてみるのがよい。

ここからまっすぐ進むと、新世界の細長い飲食街「ジャンジャン横町」に辿り着く。風変わりなマンガ店に気を取られ、前から向かってくる自転車にうっかりぶつからないように。点在する囲碁将棋会所にも是非目を向けてほしい。囲碁や将棋に真剣に取り組むおじさん達の様子は見ていて大変興味深い。

ジャンジャン横町を通り過ぎると、道幅が広めの新世界公園本通りに着く。この辺りは、パンチンコ店、古い映画館、作業着や制服を売る店、そして何と言っても串カツ屋などが並ぶカラフルな一帯だ。

串カツを試さずして新世界に来たとは言えない。揚げ物好きにはたまらないほど、たくさんの串カツ屋が軒を連ねている。ソースに「二度づけお断り」はもうご存知ですね?!(ステンレスの器に入ったソースは、他のお客とも共有するため、まだ口にしていない串カツを1回だけ浸してよいという意。)串カツと共に出てくる無料の新鮮な生キャベツは、揚げ物との相性が良くクセになってしまう。

注意して歩いていると、この辺りのほとんどの店の店頭に、笑みを浮かべた男の子の神である名物「ビリケン」の像を見つけることができる。彼の足を掻いてあげるとご利益があるとされている。

お腹を満たした後は、天王寺公園にある大阪市立美術館にて、ジャンジャン横町とは全く違う雰囲気の中、日本や中国の美術品、また、社寺などから委託された作品等の展示物で目の保養をしてみても。日が落ちた後は、是非とも大阪のすばらしい夜景を一望できる通天閣の展望台へ。新世界の旅の〆には最適の場所と言えるだろう。

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