白布温泉に行ってみた①

江戸時代以来の歴史を感じる東屋旅館へ

白布温泉は、山形県は米沢市の南方、西吾妻山の麓に位置する温泉街で、江戸時代には奥羽三高湯に数えられた。現在は廃業したホテルや旅館が目に付くなど、かつての繁栄は影を潜めているが、ところどころに昔の面影を偲ばせ、温泉愛好者の中では秘湯の一つとして親しまれている。

2000年、この街で火事があった。この火事により、白布の名物旅館であった西屋、中屋、東屋のうち、中屋と東屋が全焼。東屋はなんとか再建にこぎつけたものの、昔ながらの茅葺き屋根を持つ旅館は西屋だけとなった。なんとも物憂げな気持ちになる。

そもそも白布とはなんだろうか。その由来には諸説あるらしく、初めて温泉が見つかったときに湯に浸かっていた鷹に白い斑点があり、白斑鷹温泉と呼び始めたのが転じたという説と、温泉が白い布のように流れているという説と、アイヌ語のシラブ(霧氷)に由来しているという説がある。個人的にはアイヌ語としてのシラブが先にあり、それに白布の漢字をあてたのだと思う。白斑鷹は温泉の権威を称揚するために作られた伝説だろう。ちなみに白布温泉は開湯700年である。

今回は東屋旅館にお邪魔した。浴室は狭め。入って右側に一人用の浴槽があり、左側には小規模の湯船がある。中央の三つのパイプから怒濤のように打たせ湯が落ちており、同時に湯船から大量の湯が溢れ出る。湯は無色透明。多少硫化水素の匂いを感じるが、ほとんど無視できる程度。内湯の他に露天風呂もあり、自然の中でゆっくりとくつろぐことができた。湯に舞っている湯の華も醍醐味。大人500円。

東屋旅館は一度延焼した旅館であるが、三つの打たせ滝などの浴室の様子はおそらく昔のままで、江戸時代以来の歴史や伝統を今なお感じられる場所だった。日頃の疲れを癒したい人、江戸時代雰囲気を楽しみたい人、温泉が好きな人、一度行ってみてはいかがでしょうか。

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