日本で魅力的な木彫り彫刻が見られるのは、何も日光東照宮だけではない。新潟県越後地方の寺院には、「越後のミケランジェロ」の異名を持つ石川雲蝶(いしかわうんちょう)作の美しい壁画や彫刻、木彫り天井等、宝の山が満載されている。生前この偉大な彫刻師は、その賭博癖、酒癖、女癖で悪名を馳せたが、今ではそれら悪癖の舞台となった酒席を描いた彫刻により、逆にその名を馳せている。当時彼の顧客は殆どが仏僧で、その作品は寺院に飾られた。ここで如何にして彼の、この現実的かつ世俗的な人間どもの姿を描いた彫刻が、仏教寺院で許容されたのか不思議に思うことだろう。恐らくその卓越した彫刻技術により、彼には地域の名士としての特別な地位が与えられていたに違いない。本物のミケランジェロと比較するには少し無理があるとはいえ、この2人の天才には芸術的才能という面で共通点がある。木彫り彫刻は好きだが人混みは嫌い、という人には、越後の魚沼市近郊の永林寺と西福寺に是非立ち寄って頂きたい。
越後のミケランジェロ
日本の名彫刻師のお宝作品
Alena Eckelmannによって
コミュニティライター
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