東京はコンクリートジャングルというイメージが強いですが、もちろん、東京のほとんどがそうとも言えます。しかし、そんな高層ビルの合間に、閑静な公園や庭園があります。その中でも有名な清澄庭園。都心から地下鉄で隅田川を渡るとすぐですが、一歩門をくぐれば静寂のオアシス。都会の喧騒を一掃してくれます。
同ガーデンは、池を中心に作られた「回遊式林泉庭園」です。この大きな池には池に住むガチョウとカメが集う小さな築山や泉水、枯山水が配されています。まず庭園に入ると、玄関そばの大正記念館の前の大きな石の階段から池の周りを巡ってみてください。同記念館は優雅な木造建築の記念ホールで大正天皇の葬儀に用いられた葬場殿を移設したものです。階段を登ると、えさを欲しがって口を開けてる池の鯉を眺めたり、争ってえさをもらおうとするガチョウにパンやおせんべいをあげたりして楽しめます。
池の周りをゆっくりと散歩すると、どんどん気分が落ち着いていくのがわかります。1880年に開園された同庭園を歩くと、都会の喧騒から離れてまるでその頃にタイムスリップした気分になれます。池の南東の角を曲がると同庭園最大の丘に来ます。同丘は富士山と呼ばれ、丘に横一列に配して富士山の雲を表現したつつじが、毎春素晴らしい花を咲かせます。
池の南岸から離れた穏やかな広場は休憩場所にピッタリです。そこには木陰と水仙とともに、松尾芭蕉による有名な句「古池やかわず飛び込む水の音」という江戸時代の俳句を彫った句碑があります。池に戻ってさらに進むと涼亭が見えてきます。伝統的な数奇屋造りの茶室を基に建てられた料亭で、食事には予約が必要ですが、料亭としてだけではなく、庭園に溶け込んだ風情が庭園の一部となっています。同庭園の美しさは、人が造った造形美と自然の水や木々が素晴らしいハーモニーを奏でていること。池の向こうから涼亭を見ると、まるで池の上に浮かんでいるようでした。
続けて池の周りを散歩すると、石階段と低い石橋があり、現代彫刻家が造った灯篭のように見えるめずらしいストーン・オブジェクトがあります。そして、池の中に浮かんだ松島と呼ばれるすぐそばで見れます。松島は、同庭園に浮かぶ三つの島の一つで、全国から集めた奇岩名石と雪見灯篭で作られています。
そのまま進行方向に進んでいくと、玄関に戻ります。リフレッシュした気分で再び大都会に戻るもよし、もう一度清澄庭園散歩を楽しまれるのも楽しいでしょう。