私の子供の頃の写真には必ずと言っていいほど馬が映っている。しかしカナダで騎手になる代わりに、なぜか私は宇都宮で専業主婦になってしまった。後悔はない。しかし折につれ馬の鞍用石鹸や馬の汗、干し草や肥料の匂いが恋しくなることがある(とはいえ、それに伴う労働を懐かしむことは一切ない!)。
宇都宮に住む私が年に1度、馬への渇望をとことん満たせる日がある。日本中央競馬会(JRA)が毎年6月の第一日曜に行うJRAフェスティバル「馬に親しむ日」だ。この催しはJR宇都宮駅から鹿沼インター通りを西へ10分ほど走った場所にあるJRA競走馬総合研究所で開催される。フェスティバルは朝10時スタートだが、早く行けば無料の乗馬券や馬車の試乗券が当たる。お子様連れのファミリーも大人だけのグループも満足できるこの特典、早い者勝ちなので是非開門前からゲートに並ぼう。
JRAは施設の案内ツアーも行っている(もちろん日本語ガイドのみだ)。この研究所では年間を通じ厩舎で馬を飼育しており、敷地内には馬用の牧草地や茂みもある。もし案内ツアーに参加するなら思い切り歩かされるのを覚悟しよう。ちなみに私にとってこの案内ツアーで最も印象深かったのは馬用のトレッドミルだった。他の見所は、音楽に合わせて実演される馬のアクロバットショーや流鏑馬(やぶさめ)、子供向けのスタンプラリー、ミニチュアポニーの障害飛越や演技、乗馬服での記念写真撮影などだ。乗馬イベントについては、フェスティバル会場入り口で配られるスケジュール表をしっかりチェックし、ショーを見逃さないようアリーナ前に陣取ろう。おそらくアナウンサーブース近くが最もアリーナが良く見える席だ。
JRA競走馬総合研究所の壮大な敷地と景観はフェスティバル会場に最適だ。芝生の上にシートを広げてピクニックランチを楽しもう。近くに森があるとはいえ木陰はまれなので、暑い日には早くから準備し、数少ない日陰を確保しよう。帽子と日焼け止めは必須だ。小さなお子様連れの方にはベビーカー持参をお薦めする。駐車場からフェスティバル会場までベビーカーなしで歩くのは困難極まりない。そして馬の臭いが心配な方、ご安心を。屋台の食べ物臭の方が馬の臭いよりよほど強いので気にならないはずだ。