福井県は全国でも知られた蕎麦の産地である。
地理的に福井県は日本列島のほぼ中央の日本海に面しており、メリハリの効いた四季を持つ。
秋から冬は冷涼で蕎麦の栽培に適した気候条件だ。
2011年の統計では蕎麦栽培面積は全国第三位であり、収穫量も全国第六位の蕎麦処なのである。
主に嶺北(れいほく)地方で栽培が盛んだ。
とりわけ丸岡町は転作推進の取り組みが十年以上にわたってなされたこともあり、県下最大規模の栽培地に成長した。
丸岡在来種という品種の蕎麦の育成を大事に手がけてきたことも幸いして、今や「丸岡蕎麦」は全国レベルのブランドになっている。
丸岡は早刈り蕎麦でも名が知られている。
別名、青蕎麦。
秋の昼夜の寒暖の差が激しい丸岡平野で育った実を熟成を待たずに収穫。皮を取って抜き実(丸抜き)にするとうぐいす色のきれいな緑色の肌が現れる。
石臼で丁寧に挽くと芳しい蕎麦の香りが立ち上る。
生産量も生産農家も少ないためあっという間に完売となる。
「幻の青蕎麦」と言われる所以である。
福井の蕎麦の特徴は黒蕎麦であることだ。
蕎麦実を包んでいる殻をも挽き込むため色が黒っぽくなる。
色だけでなく風味も濃厚になる。
蕎麦は小麦と違い胚珠が実の中央にあるため剥がれ落ちにくい。
粉に挽くとその栄養豊かな胚珠はしっかりと挽き込まれることから蕎麦はとても栄養価の高い食物となるのである。
さらに蕎麦は石臼で挽くことでより風味が増す。
その石臼での挽きたての丸岡産の蕎麦を食べることができる店が丸岡町内にあるのだ。
「大宮亭」。
北陸自動車道・丸岡ICから降りてすぐ。
シンプルモダンの清楚な佇まいが良い。
この店の一押しはランチである。
挽きたて打ちたての二八蕎麦ともう一つ料理(とんかつであったり、炊き込みご飯であったりと、季節により変わる)がセットになり味噌汁とサラダが付いて\1,050-。
しかも無料で蕎麦を大盛りにリクエストできる。男性は十分満腹の量だ。
ただし毎日50食限定なのですぐに完売となる。
当然のことながら大人気で昼食時はすごい混み様だ。
だが長く待たされることはない。
だが12時過ぎには到着したい。
もちろん昼食だけでなく、蕎麦のみをじっくり味わいに訪れる価値は十分にある。