海鮮ビストロ・ヤマライ

フランス高級料理と宮城の特選食材、夢の饗宴

Laura Welch   2015/03/08によって

最近、仙台のレストランシーンを賑わせている店がある。宮城では比較的新しい店の一つだが、広島では100年以上の歴史を誇る老舗レストラン「シェ・ヤマライ」の宮城支店、海鮮ビストロ・ヤマライだ。

2011年、東日本を大地震と津波が襲った。被害を受けた宮城の為に何か自分に出来ることはないか、と考えたのがビストロ・ヤマライのオーナーだ。広島も宮城も共に悲劇に見舞われた土地である。しかし広島は悲劇から立ち直った。宮城だって立ち直れないわけがない、と信じたオーナーは、牡蠣で培った人脈を駆使し ( 広島・宮城は共に有名な牡蠣の産地だ )、地元産の食材をふんだんに使用するビストロを宮城に開店した。それだけでなく、宮城の食材を広島に送り販売することで、東北産の食材に対する風評被害軽減にも努めた。このレストランでは、毎朝運び込まれる採れたての食材を、フランスで修行した料理長が調理し、お抱えパティシエが丹精込めてデザートを作る。

本格的なのは何もフランス仕込みのシェフ達だけではない。各国語を流暢に喋るレストランの店員たちにも驚かされる。ある者はイタリア語、ある者はフランス語を自由に操り、韓国語や英語に堪能なスタッフもいる。この国際的環境はメニューにも活かされ、テーブルには英語・フランス語、日本語版メニューが用意されている。店内はフリーWi-Fi完備で、食事中にリラックスできるだけでなく、仕事までもこなせてしまう。しかも間接喫煙の心配は無用、全席禁煙だ。

これほどのレストランに入るにはそれなりの勇気が要りそうなものだが、この店に入るのに気合は無用だ。価格も手頃でスタッフは親切、カジュアルな服装でも心置きなくくつろげ、もちろんフォーマルな服装にも合う。店内はこじんまりしており ( 全41席、立食込みで定員70人だ )、内装は上品だ。

私はオードブルとメインディッシュをお好みで選べるコースを注文した。コースメニューは数種類あり、各料理は少量だが、コース全てを平らげた後には十分満足できる内容だ。

シャキっとした野菜と歯ごたえのあるシーフードが相性抜群の新鮮で色とりどりなミニ・サラダに、まずは食欲をそそられる。コース初盤からホームメイドのパンが出されるが、温かくカリカリした焼きたてパンは、私が今までずっと思い焦がれ、しかし日本では食べられなかった待ちに待った味だ。ちなみにパンはいくらでもお替りできる。

次に出てきた前菜はフランス生まれ、蔵王育ちの鴨だった。一口頬張っただけで、過去1週間分の食事の記憶が完全に吹っ飛ぶほどの絶妙な味! パリパリの大根と繊細かつ濃厚なチーズの味に引き立てられたスモーキーで肉付き豊かな鴨肉が何とも言えず美味しい。そして料理全体を甘酸っぱいバルサミコ酢が密やかに、かつ巧妙に引き締めている。

次はこの店の名物料理の一つ、オイスターヴァリエだ。シーフード初心者と言っても過言ではない私を熱心なシーフード信者へと改宗させるに足る絶品だ。こんがりと焼かれた牡蠣が5種類の味で調理されている。全ての味が牡蠣本来の味わいを殺すことなく、一層引き立てている。私が一番気に入ったのはトマトソースとベーコン味だった。

次に登場するのがカブのクリームスープだ。素朴でありながら軽やかで甘味に満ちた味わい。いろんなシーフードの風味が混じり合い複雑な味わいを持つブイヤベースと、これほど対極を成すスープもないだろう。カリカリの薄切りパンにアリオリソース ( にんにくマヨネーズ ) を付け、スープに浸して大勢で食べれば最高に美味しいに違いない。そして最後に出されたご馳走は柔らかくジューシーな豚肉のポトフだった。マスタード味に惹き立てられた肉が口の中でとろける!

素晴らしいディナーの締めくくりは、見て美しく食べておいしい逸品デザートだ。サクサクしたハート形のバタークッキーにツンと鼻に抜ける香りのシトラスケーキ、仕上げは甘酸っぱいラズベリーソースがたっぷりかかったクリーミーココナッツ・ケーキだ。紅茶やコーヒーと一緒に楽しめば、これ以上のフィナーレはない。

Laura Welchさんによって書かれました。
ジャパントラベルのメンバー
Takako Sakamotoさんによって翻訳されました

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