御船川と平行に延びる本町通りを歩くと、立派な白壁の純和風の建物に目を引かれる。はてはて、ここは何かと足を留めて中を覗くと「御船街なかギャラリー」と看板がかけられている。「どうぞお入り下さい。」と職員の方が門を開けてくださったので、中を見学させてもらった。
もともとこの家屋は江戸時代の萬屋(精米、造酒、舟陸運送、山海物産、旅館、金融等)を営む林田氏の商家を2014年に修復・再現したものだそうだ。敷地内には母屋、蔵が二棟、離れと広く、江戸時代の林田氏の繁栄の様子を伺える。母屋は大きなたたき、畳敷きの座敷が広がっていて襖で仕切れるようになっている。御殿でかくれんぼうでもしているような気分になる。離れは八畳の和室にキッチンが備え付けられている。蔵は照明が施されていておしゃれな雰囲気を醸し出して、内側から天井を見上げると建築構造が見れて興味深い。
現在は御船町がこの建物を運営していて、これらのスペースを低価格で個人・団体に貸し出ししている。個展、文化交流、コンサート、お化け屋敷、食事会など数え切れないほど様々な目的に利用されている。私が訪問した当日は、母屋のたたきの部分で奥田盛人氏の回顧展が開催中で氏のゆかりの品々、戦争の体験記などが展示されていた。土蔵のひとつは郷土の自然・歴史・地理などを研究した地元の小・中学生の壁新聞が展示されて、子供たちの所見などに思わず笑みを誘われたのだった。
キッチン、照明、音響機器、映像機器、テーブル、椅子などの設備も整っているので個性的なイベントを企画できる。予約、問い合わせは御船町役場観光交流推進課にて。