福井「金津祭」

江戸時代からの伝統を受け継ぐ祭り

金津祭は福井県あわら市金津町に江戸時代初期から受け継がれている伝統ある祭りである。

 福井越前藩は徳川家康の天下となった慶長18(1613)年に南金津に金津奉行所を置いた。

金津奉行所は行政や警察面で越前北部地域を広く管轄した。

寛永12(1635)年、参勤交代制度が発令されるに及び金津は宿場町として整備された。

北陸道から東海道へと進む参勤交代の大名行列において、大名や旗本などの宿所として指定された本陣は宿役人の問屋や村役人の名主などの居宅が指定された。

本陣は南金津では金津奉行所に、北金津では坂ノ下の黒坂宅であった。

本陣とは本来は戦の野営地における大将が詰める所である。参勤交代も戦陣の行軍であった。

それからも「本陣」という名が大名の宿泊する所に名付けられたのであろう。 

その際、本陣に宿泊する大名をもてなそうと、本陣の名主初め金津住民は工夫を凝らした飾り物を拵え、それを本陣の式台に飾ったのが金津祭の「本陣飾り物」の由来となっている。

時代は流れ江戸時代の終焉とともに安政4(1857)年の参勤交代の廃止で大名をもてなす本陣飾り物も本来の役割を終えたかに見えた。

だがそれまでの長い歴史と伝統は再び金津の人たちによって復興された。

本陣は大名の宿泊所から神輿を迎える聖地とその意味を変えて理解されている。

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