豆乳ソフトクリーム屋「ごーる堂」福井

越前海岸エリアの美味しいスイーツショップ

ヘルシー豆乳ソフトクリームを食べに行こうと思い立ち越前海岸をドライブ。大味(おおみ)交差点からつづら折りの渓谷道路を登ってゆくと5キロほどで街道沿いに集落が現れてくる。殿下(でんが、と読む)地区。この山道沿いにひときわ目立つログハウス風の小さなお店がある。テイクアウトの豆乳ソフトクリームショップ「ごーる堂」だ。店の軒下に入ると窓から人懐っこい笑顔が出迎えてくれる。

オーナー、堂下雅晴(どうしたまさはる)さん。62歳。堂下さんは元水泳コーチという肩書を持つ異色の製粉職人である。長年横浜で水泳の指導者として働いてきたが、40代に福井での新しいスイミングクラブ設立に併せインストラクターとして乞われ帰郷した。やがてお父さんが経営する大豆の製粉会社を手伝い始め、お父さんが他界するとそのまま会社を引き継いで現在に至る。

豆乳ソフトクリームショップ開店の構想は今から8年ほど前にさかのぼる。それまではデパート等の物産展に出かけて行って豆乳ソフトクリームを販売していた。なかなかの人気で商品としての手ごたえは十分に感じていた。ただ物産展では、売れ残ると破棄するしかない。三週間ほどしか持たないからである。次の物産展まで何か月もあるために計算して製造販売しなければならない。それを地元でやれるとなれば材料のロスを少なくできる大きなメリットが考えられる。また、物産展は基本的に冬季開催である。そのときにホームグラウンドとしての拠点があるのと無いのとでは信用度が全然違うのだ。そういう意味でも拠点作りはとても重要だと感じていた。

さらにはショップを持つことで、地元のお客さんの顔が見えるようになる。いろんなものを作ってすぐ売ってみるといった実験も可能だ。2019年から具体的な準備に入り、2020年の夏にオープン。蓋を開けてみたら、これがデパートの物産展の売り上げに勝るとも劣らぬ大好評となった。本当にうれしい悲鳴だったと、堂下さんは振り返る。県外の観光客はもちろんだが、福井の地元のお客さんがわざわざ豆乳ソフトクリーム食べたさに店を訪れてくれるという。

店名の「ごーる堂」は、水泳で目指した金メダルのゴールドと、商いで目指すゴールの二つの意味を込め、苗字堂下の堂で締めている。お父さんを思い出しながら、「父の大豆製粉を初めて手伝ったとき、製粉された大豆に工場の窓から差し込む日光が当たってキラキラと金色に輝いていたのがずうっと脳裏に焼き付いていたんです」と語る堂下さん。そのイメージが店名につながったのだ。

ふるさとの殿下地区はかつて林業王国だった。「以前はたくさん人口がいたんですよ。2011年でもね500人はいました。それがこの十年で100人以上減りましたからね。」と堂下さん。輸入木材に押されて国産材は需要が激減した。そのあおりで地域も衰退の途にある。

スイミングの熱血指導者だった堂下さんは、郷土へも並々ならぬ愛情を注いできた。しかし、殿下だけの小さな地域のために活動しても行き詰ってしまう。そんな現実の厳しさをずうっと感じてきたとおっしゃる。もっと広い捉え方をしなければならない。視点をもっと広げてより大きな地域の仲間たちとゴールを共有しそれを達成するために志を一にする仲間を取り込んで動いていかなければ。そんな彼の思いは、折しも同じ地域で活動する若者たちの「越前海岸盛り上げ隊」というユニークなグループとの遭遇で、そこに彼の情熱は注がれることとなった。

「メンバーは皆それぞれの事業をしっかりと自助し頑張っています。それだけだとぽつんとした点なんですが、共に力を合わせ支え合いながら盛り上げる対象の地域を福井市の越前海岸地域全体に広げて活性化させようとね。ボランティア活動でね。みんな仲良しで熱情とお互いへの敬愛にあふれてるんだよね」と語る堂下さん。

海というのは観光資源、産業資源といろいろいくつもの価値がある。そこの人たちが連携したら小さな殿下の地域にこだわる意味なんて全くない、と。盛り上げ隊のご意見番・重鎮としてメンバーの皆から頼られ慕われる堂下さん。バイタリティーはますます熱を帯びている。

肝心の、お店一押しの商品。「越前きな粉ソフト」と「黒蜜きな粉ソフト」だ。どちらも牛乳製品や鶏卵を一切使わず豆乳で仕立てた順植物性である。白ごまも入っている。「キャラメル味」とおっしゃるお客様もいるそう。普通の生乳ソフトクリームの半分ほどのカロリーなので女性にも人気という。さらに暖かいスープも。越前海岸採れの海草「あかもく」が入った「越前呉汁の磯仕立て」、「中華風の豆乳コーンスープ」、そして「白玉だんご入りおしるこ」も。お値段は「黒蜜きな粉ソフト」が370円、他はすべて300円とお得感たっぷり。

越前海岸を観光なら、「ごーる堂」は絶対要チェックである。

行き方

福井県越前海岸の国道305号から大味(おおみ)交差点を山側に入る。5キロほど渓谷沿いの道を上った辺りの道路沿いにログハウス風のショップが簡単に見つかる

詳細情報

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