京都は祈りの街である。
街中から入り組んだ露地の奥に、さらに周囲の山間にまで数千の寺社仏閣が立ち並ぶ。
清水寺に続く「三年坂」は、安産祈願の「産寧(さんねい)坂」がなまっての命名という由来があるそうだ。
今年は公私絡めての難問難題が大小不明のままごろごろと転がって来そうなので、それこそ「清水の舞台」から飛び降りる気持ちで大胆に挑戦したいと、ここ清水寺を正月参詣に選んだのだった。
本尊に合掌したあと、裏にある「地主(じしゅ)神社」へと回る。ここは縁結びの御利益があるとのことで、女の子たちがきゃあきゃあ、大変なにぎわいである。
七福神もいらっしゃる。ここではお願いをせずに「お礼」を言うのだそうだ。
神様とは潜在意識で繋がっているから、神様には心の言霊が届くのである。
大半の参詣客が「お願いします」「叶いますように」と祈願成就の気を巻き散らかして行くのに対して、「神様、いつもお見守りくださってありがとうございます。」と心の中で呟く。
するとそれを聞いていた神様、「お~、珍しい奴ちゃなあ。あの男、願い事もせんとお礼だけ言って帰っていきおったで~。
ほんなら、今年の大当たりはあいつにしとこかな。ほ~い!」と、開運大吉のウルトラビームを浴びせてくださる。
帰りに、坂下の「イノダコーヒ」清水店で御神酒代わりの初珈琲をいただく。店を出て見上げると、時折小雪が舞う京の空は、凛と澄み渡っていさぎよい。