兵庫県の古刹、丹波屈指の紅葉の名所高源寺。こちらの紅葉の多くは天目カエデと呼ばれているが、これは開山の禅師が中国杭州の天目山で禅の修行をし、丹波に戻り高源寺を建立した折、天目山よりカエデを持ち帰って植樹したのが始まりと云われている。
天目カエデの特徴は、葉が小さく、葉の切れ目が深くて、枝は垂れ下がるといわれている。確かに赤く染まったカエデの葉はまるで子供の手の平のように可愛らしい。その楓を求めて毎年数万人の観光客やカメラマンが集まる。重厚で安定感のある石碑を見ながら、惣門をくぐると石段の参道が続くが、頭上はすでに紅葉のトンネルになっている。石段や石灯籠は苔を纏い、堂宇のほのかに薄暗い祭壇で、ロウソクの炎がゆらぐ。幻想的な雰囲気が漂う中、参道の石段を登り切る。まさに幽玄の世界そのものだ。さすがに丹波紅葉三山の一つと云われるだけのことはある。西天目高源寺で是非、天目カエデの紅葉、観賞していただきたい。