汐雲丹は福井の夏の味覚であり福井の歳時記だ。
汐雲丹とはバフンウニの卵巣の塩漬けである。
越前海岸に点在する漁村や漁協ではそれぞれの規則を持って雲丹を大事に育てている。
雲丹の採取期間は概ね、7月下旬から8月半ばまでである。
正午の鐘の音とともに、あるいは笛の音が鋭く吹かれるとともに、海女たちが一斉に海に入り雲丹を採る。
福井に暮らす人は、福井名産の汐雲丹が出回る頃になると、ああ夏が来たんだな、と実感する。
かつて江戸時代、越前福井では塩雲丹(汐うに)は各浜の漁師たちの浜の年貢の一つとして作られ、旧福井藩に納められていた。
また旧福井藩に納めた塩雲丹は、軍事用の備蓄食や各宮家・他藩への贈物としていた。
徳川将軍家に献上されるさまざまな品々の中でも、「長崎奉行の持品のからすみ」、「 尾張公の持品のこのわた」そして「 越前公の持品の越前の雲丹(塩雲丹)」。
この三品は美味である上、いずれも大量製造ができず入手が困難であったことにより、江戸時代より日本三大珍味と称されている。
越前雲丹はだからとても高価である。しかし、その価値は十分ある。
8月下旬から9月上旬にようやく越前雲丹の新物がで回り出す。