こんにち、日本国内の映画館は大半がメジャー配給会社の傘下に入っている。
その頂点に君臨するのがハリウッド6大映画製作会社である。
20世紀フォックス、タイム・ワーナー、ソニー・ピクチャーズ、ウォルト・ディズニー、パラマウント、そしてユニバーサル。
これら6メジャーは映画製作から世界中の上映館まで全体を産業構造として組み込むシステムを構築している。
もちろんハリウッド映画にも素晴らしい作品は多くあるのだが、ハリウッド作品は傘下に抱える映画産業界を食わせていかなければならない宿命を負っているから、当然商業主義にならざるを得ないのだ。
一方、それらの映画会社などや、制作費を出資あるいは調達するプロデューサーからの圧力は相当に厳しいものがあるという。
そういった圧力を避け、映画単体として独立して自由に制作している映画を[インデペンデント(独立)系映画]と呼ぶ。
これらインデペンデント系映画は制作費も少なく、上映映画館もとても限定されていることが多い。
しかし、こだわりを持った自由な発想の製作者によって作りこまれた映画作品は名画の名に値するのが少なくない。
福井市内にあって、このインデペンデント系作品を中心に上映しディープな映画ファンを惹きつけて止まない映画館が、福井市の繁華街・片町にある。
「メトロ劇場」。
名前からしていぶし銀である。
映画観賞が一大大衆娯楽であった昭和ははるか遠くに去り、平成はインデペンデント系映画にはなかなか難しい時代だ。
それでも独り気を吐いているメトロ劇場の孤高さは一映画ファンとしてあつく支援したい。
名画を心ゆくまで堪能できる映画館は、その町の文化遺産であるといっても過言ではないと思うのだが。