京都「じき宮ざわ」

茶懐石を手軽に楽しむ

茶道は茶の湯とも言う。さかのぼること平安時代、遣唐使により中国から伝わった茶は当初は薬用であった。こんにちのウーロン茶のように発酵茶の様相で、日本語の「茶色」はここから来ている。さて、その茶はさほど流行らず廃れてしまったのだが、鎌倉時代に下ると中国留学から帰国した道元などの僧侶によって抹茶の形で茶が再び日本に紹介された。禅宗の修行の一貫として広まっていった抹茶を飲む習慣は、室町時代の僧侶村田珠光が「茶とは亭主と客とが茶会において精神的な交流を持つものでなければならない」と説き、こんにちのわび茶の原点となる。その後の安土桃山時代、千利休に至ってこのわび茶は完成した。

茶の湯で床の間の花器に季節の花が活けられるのと同じように京料理は、くっきりとした四季の美しさを皿や鉢の中に再現した日本料理である。茶の湯では茶碗をも愛でる。京料理でも器の美しさに拘り、四季の移ろいに合わせて器も代えていく。このようにして、料理と器を眺めても、料理を味わってみても全てにその深いもてなしの意気を感じることができたなら客は幸福だ。実はそんな風な思いを遂げさせてくれる店に出会った。「じき宮ざわ」という小さな京料理店である。

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