「これから伺います」、「また来週来るから予約よろしくね」━。
ふいに予約を入れて車で30分かけて来る客、食事をして次の予約をする客。馴染み客は定期的に予約を入れて訪れる。
「店に来ていただく道中から食事の時間は始まっている」と語る店主の新島俊夫氏。特別感を味わってもらえるような空間、料理を提供することを大事にしている。
24歳でオープンしてから24年間、アプランティの店主として店を切り盛りしてきた。宴会や婚礼などの一度にたくさん作る料理やフランス料理以外の中華、和食といった世界を経験しようと店をたたみ、ホテルの総料理長を経験。再オープンするまでの4年間、さまざまな料理を取りまとめ、料理以外の企画宣伝にも携わり、納得のいくまで務め上げた。
2012年2月、フランス語で見習いを意味する「アプランティ」の名をそのままに再オープン。新たに感じたことは、店を閉めている間に自分自身も馴染み客もそれぞれ歳を重ね、料理の好みの変化があり、それがマッチしていたこと。馴染み客と訪れた友人、知人が個々に訪れるようなり、新しい固定客が増えている。こうした変化のある環境に、新島氏はとてもやりがいを感じているそうだ。
メニューはコース料理のみだが、ランチ、ディナーともに数種類あり、利用する内容に合わせておまかせもできる。全国各地の旬の食材を仕入れ、その食材からインスピレーションを得て料理を作っていく。20席ほどの小さな店なので、予約で訪れた客の様子を見ながら、ベストなタイミングで料理を提供。色鮮やかな美しい盛り付けで、どんな味わいなのかとわくわくするような料理が、前菜から食事の締めのデザートまで楽しめる。
旬の食材を使った毎回違うフランス料理を味わえ、堅苦しさのないゆったりとした食事の時間を楽しめるところが、定期的に訪れたくなるアプランティの魅力なのだろう。