アドミュージアム東京 ADMT

広告という芸術を楽しむ

Tomoko Kamishima   によって

『テレビCMが好きだ』という方なら、ぜひのぞいていただきたい。展示室のiPadには、年代ごとの名作CMが満タンである。ヘッドフォンをして、懐かしいCMを観ていると、おかしくて思わず吹き出したり、じんわりと心が熱くなったりするかもしれない。

アドミュージアム東京ADMTは、カレッタ汐留にある広告の資料館である。入場は無料。江戸時代からの広告史と内外の広告賞受賞作品を展示するミュージアム、および広告図書館で構成されている。日本の広告を「科学と芸術の総合である」と言って、文化芸術に育て上げた『広告の鬼』、吉田秀雄(元(株)電通社長)の生誕100年を記念して、2002年汐留に開館した。

常設展示

江戸時代から現在に至る広告の歴史展示物が並ぶ。江戸時代、すでに我が国では広告の前史が見てとれる。錦絵にさりげなく織り込まれた商標名や、商品を手に取ってたたずむ美人画、店名を入れた芝居の口上など、商人たちは、江戸の庶民文化に敏感に反応していたようだ。明治以降は、色彩豊かなチラシ、ポスターなど印刷物が広告の主流となる。マッチ箱のような小さいものから、大判のポスターまで、時代のイメージが鮮烈だ。戦後、テレビが普及するとTVCMが広告の花形となっていく。モノクロからカラーになると、一気にCMから伝わってくるエネルギーが増大するように見える。そして、音楽が重要なエッセンスとして広告のイメージを広げていく様子が面白い。

企画展

折々の企画展はアドミュージアムのホームページなどで確認していただきたい。2012年7月28日から10月14日までは『日本のCMぜんぶ1953-2012』と題して、60年分の代表的CMを紹介している。懐かしいものからつい最近のヒット作まで、TVCMを自由に観ることができる。

2000年のユニクロのフリースの宣伝を覚えている方は多いかもしれない。カラフルなフリースジャケットが、何百枚も、延々と目の前を流れていく。ただそれだけのとてもシンプルなCMだ。見ているうちについつい、私はどの色がいいかな、と思わせてしまう不思議な画面。最後に1980円という価格が出る。このCMを見たら、週末はユニクロに行ってみようと、実にたくさんの人が思ったはずだ。郊外のユニクロは、当時、広い駐車場がいつも満車だったのを覚えている。

もう一つ、2006年のトヨタの宣伝も面白い。男性がトヨタの自家用車に乗り込むところからCMが始まる。ドアを開けると、トヨタ社員らしいスーツ姿の男性が、シートの代わりに車内に並んでいる。一瞬ぎょっとするが、男性はごく自然に、ヘッドレストを調整して車に乗り込み、シートベルトを締める。それが、トヨタ社員の首を伸ばして、その両腕を自分の胸の前で組ませる、というシュールな動作で行われる。雨が降ると、濡れながら必死にワイパーを動かすのもトヨタの社員、いざというときのために、エアーバッグを膨らませて準備しているのもトヨタの社員、トランクを開けると、荷物が見えるように、懐中電灯を照らしてくれるのもまた、トヨタの社員である。そして、『見守られているという安心感』というテロップが出る。機械という冷たい印象を消して、マンパワーで「安心感」を押し出そうとしているのであろうか。実際にこんなに大勢の人が車内にいたら、逆に『見張られている不安感』に苛まれてしまう気がするが、そこがこのCMの面白いところである。

企画展開催中は、500本以上のCMをiPadで自由に見ることができる。ヘッドフォンは二本ついているので、大切な人とネットサーフィンならぬ、CMサーフィンするのもいい。

広告というのは、時代を映し、文化を生み、流行を造る、人々の鏡のような存在である。だから過去のCMを見ると、その時の自分が蘇ってくるようで、懐かしくも切ない気分になるのだろう。「当たりはずれのある映画を一本観るよりも、何年分かのCMを観たほうが、確実にぐっとくるなあ。」というのは、わたしの独り言…です。

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Tomoko Kamishima

Tomoko Kamishima @tomoko.kamishima

Japan is a small island nation, but we have a huge number of surprising things to discover here. Many of these delights can be found when you step off the main street onto small side paths. I really enjoy studying about and researching various aspects of traditional Japanese culture, and then sharing this information with visitors to Japan. I hope you will enjoy it, too! ARTICLE INDEX & PHOTOS:  An index of most of my Japan Travel articles can be found at the entry page of my blog, and my photos are shown here.  日本はとても小さな国ですが、大通りから一本小道に入ればたくさんの発見があります。日本人が積み重ねてきた歴史を学びながら、古い建物や庭を訪ね、物語の舞台となった景色を眺めて、皆様といっしょに日本文化の奥深さを探求していきたいと思います。

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